裁判例結果詳細

事件番号

平成13(行コ)47

事件名

固定資産評価審査決定取消、審査決定取消各請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成10年(行ウ)第93号、第219号)

裁判年月日

平成13年8月29日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 固定資産課税台帳に登録された土地の登録価格についての審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求が,一部認容された事例 2 固定資産課税台帳に登録された土地の登録価格についての審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,適正な価格を超える部分について審査の申出を棄却した部分のみが違法として取り消された事例

裁判要旨

1 固定資産課税台帳に登録された土地の登録価格についての審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,地方税法341条5号にいう「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち客観的な交換価値をいうところ,同法が,土地の登録価格の決定に当たり,固定資産評価基準によって評価すべきものとしていることからすると,登録価格の決定に当たり評価基準を忠実に適用しなかった場合(評価に用いた取扱要領が評価基準の趣旨に反する場合も含む。)には,当該登録価格は,賦課期日における客観的な時価を表しているか否かにかかわらず,法に反するものと評価せざるを得ないとした上,前記土地は,最寄駅からかなり離れていること,近隣には寺院や墓地があること,冬場は日照に優れず,崖崩れの危険があること,また,宅地として造成するには多額の造成費がかかること等から,客観的にみて宅地化を前提とした評価をすることは不適当な土地というべきであり,前記取扱要領に基づき,前記土地を主として市街地的形態を形成する地域に属するものとして,市街化宅地評価法を適用し,宅地とした場合の価格から造成費用を控除するにとどめたことは,固定資産評価基準が「土地の位置,利用状況等を考慮し,付近の土地の価額に比準してその価額を求めるものとする」としていることに沿わないものであり,適正を欠くとして,前記請求を一部認容した事例 2 固定資産課税台帳に登録された土地の登録価格についての審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,裁判所が,争いのある土地の登録価格について,法及び評価基準等を正しく適用した結果として,特定の金額をもって適正な時価を認定し,審査決定中その金額を超える部分のみを取り消す一部取消判決をした場合には,取消判決の拘束力によって,市町村長は審査決定の場合と同様の措置を採ることが義務づけられるものと解されるのであって,改めて審査委員会の審査決定を介在させる必要性はないし,介在させないことによって特に不都合が生ずるとも考えられず,むしろ,紛争の早期解決につながるものと考えられるとして,適正な価格を超える部分について審査の申出を棄却した部分のみを違法として取り消した事例

全文

全文

ページ上部に戻る