裁判例結果詳細

事件番号

平成11(行ウ)72

事件名

平成11年(行ウ)第72号 損害賠償請求事件(以下「甲事件」という。)平成12年(行ウ)第25号 損害賠償請求事件(以下「乙事件」という。)

裁判年月日

平成13年8月29日

裁判所名

横浜地方裁判所

分野

行政

判示事項

刑事事件で身柄を拘束されている市議会議員に対して議員報酬及び期末手当を支給し,また,同人が代表者を務め,唯一の会員である市議会の会派に議会調査研究費を交付したことが違法な公金支出であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市に代位してされた市長個人に対する損害賠償請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

刑事事件で身柄を拘束されている市議会議員に対して議員報酬及び期末手当を支給し,また,同人が代表者を務め,唯一の会員である市議会の会派に議会調査研究費を交付したことが違法な公金支出であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市に代位してされた市長個人に対する損害賠償請求につき,同法(平成11年法律第87号による改正前)203条2項が,勤務日数に応じて報酬を支給される者の対象からあえて議員を除外していることからすると,普通地方公共団体は,議員としての身分を有している者に対しては,地方議会に出席する等の議員としての具体的活動を行ったかどうかを問わず,議員の地位にあること自体により議員報酬を支給すべき義務を負うと解するのが相当であるから,前記議員に対する報酬の支給は違法ではなく,また,期末手当を支給するか否か,支給額等を市長の裁量にではなく,条例に委ねた同法(前記改正前)203条4項及び5項の趣旨からすると,市長は,その裁量により任意に期末手当の減額等をすることはできず,条例の規定に従って期末手当を支給しなければならないから,前記議員に対する期末手当の支給は違法ではなく,また,前記研究費は,同法232条の2所定の「補助」として会派に交付されるところ,研究費の申請会派が活動を行う可能性及び交付された研究費を費消する可能性が全くないような特段の事情がある場合には,同条所定の「公益上の必要がある場合」とはいえず,市長の裁量権を逸脱したものと解されるが,前記議員であっても,補助者等の他人の協力を得て費消することが可能であること等から,前記特段の事情は認められず,前記交付に裁量権の濫用があるとはいえないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

全文

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