裁判例結果詳細

事件番号

平成13(行コ)74

事件名

損害賠償請求控訴事件(原審 東京地方裁判所平成11年(行ウ)第59号)

裁判年月日

平成13年8月27日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

都が応訴した訴訟事件に係る和解のすべてを知事の専決処分とした議会の議決は地方自治法180条1項に違反して無効であるから,当該和解は議会の議決を経ていない違法なものであるとして,同法242条の2第1項4号に基づき知事に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

都が応訴した訴訟事件に係る和解のすべてを知事の専決処分とした議会の議決は地方自治法180条1項に違反して無効であるから,当該和解は議会の議決を経ていない違法なものであるとして,同法242条の2第1項4号に基づき知事に対してされた損害賠償請求につき,同法180条1項は,普通地方公共団体の議会は,議会の権限に属することであっても,軽易な事項については,議会の議決により特に指定して,普通地方公共団体の長の専決処分にゆだねることができるものと規定しているところ,どのような訴訟上の和解が同項にいう軽易な事項に該当するのかの判断は,第一次的には当該普通地方公共団体の議会の判断にゆだねられているものというべきであるが,同項が特に軽易な事項に限って長の専決処分にゆだねることができる旨を規定していることからすると,訴訟上の和解のすべてを無制限に知事の専決処分とすることは法の許容するところではなく,議会にゆだねられた裁量権の範囲を逸脱するものとして違法となるとした上,都が提起する訴訟事件が除外されているとはいえ,都が応訴した訴訟事件に係る和解のすべてを知事の専決処分とする議会の議決は,和解を原則として議会の議決事件とした同法96条1項12号及び議会の権限のうち特に「軽易な事項」に限って長の専決処分にゆだねることができる旨を規定している同法180条1項の趣旨に反し議会にゆだねられた前記裁量権の範囲を逸脱するものであり無効であるが,議会の議決が一義的明白に違法であるいうことが困難な場合においては,議会の議決に基づく執行行為をした地方公共団体の長に損害賠償義務を負担すべき責任は生じないところ,訴訟上の和解について,同項にいう軽易な事項に該当するか否かを判断するには,多岐にわたる事項について複雑な判断によらざるを得ないものであるから,容易に判断できるものとはいえず,また,前記議会の議決については,都が適法な議決として扱い,前記議決から前記和解までの約34年間にわたり,都が応訴する訴訟事件に係る和解を知事が専決処分とし,そのことにつき,議会及び歴代知事などの執行機関はもとより,住民からも疑義が出たことはうかがわれず,都が応訴する訴訟事件に係る和解を知事の専決処分にしたことで住民に不利益を及ぼした形跡も存しないことからすると前記議決が一義的明白に違法であるということは困難であるなどとして,前記請求を棄却した事例

全文

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