裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成6(行ウ)327
- 事件名
減反政策差止等請求事件
- 裁判年月日
平成13年8月24日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 米の生産者又は消費者である者らが,国の行ういわゆる減反政策は同人らの有する「生存権的人格権」又は職業選択の自由の人格的側面である「米を作る権利」を侵害するものであるとして,国に対してした同政策に基づく各種行為の差止請求が,同人らの主張する前記各権利が侵害される具体的危険が存すると認めることはできないとして,棄却された事例 2 米の生産者又は消費者である者らが,国の行ういわゆる減反政策に基づいて実施された米の生産調整により,「生存権的人格権」又は職業選択の自由の人格権的側面である「米を作る権利」を侵害されたとして,国家賠償法1条に基づいて国に対してした損害賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 米の生産者又は消費者である者らが,国の行ういわゆる減反政策は同人らの有する「生存権的人格権」又は職業選択の自由の人格的側面である「米を作る権利」を侵害するものであるとして,国に対してした同政策に基づく各種行為の差止請求につき,個人の生命,身体,名誉等の重大な人格的利益が現に侵害されている場合には,人格権に基づいて加害者に対し侵害行為の差止めを求めることができるものと解する余地があるが,その事前差止めは,相手方に対し一定の行為を行わないことを命ずるという重大な制約を課すものであるから,前記のような重大な保護法益に対する侵害が発生する具体的危険が存在する場合に限って認められるものと解すべきであるとした上で,国が減反政策に基づいて行う各種行為により,飢餓が発生し,同人らの主張する「生存権的人格権」が侵害される具体的危険が存在すると認めることができず,また,米の生産調整は,米作農業を職業として選択することや,米を作ること自体を直接禁止ないし制限するものではないから,前記各種行為により,「米を作る権利」としての人格権が侵害される具体的危険が存在するとも認めることができないとして,前記請求を棄却した事例 2 米の生産者又は消費者である者らが,国の行ういわゆる減反政策に基づいて実施された米の生産調整により,「生存権的人格権」又は職業選択の自由の人格権的側面である「米を作る権利」を侵害されたとして,国家賠償法1条に基づいて国に対してした損害賠償請求につき,国が推進した米の生産調整は,米の需要と供給の均衡を図るためにその生産量を抑制するために,個々の米作農業者に対して転作等基本目標面積を配分して,生産調整を要請するものであって,米作農業を職業として選択することや米作自体を禁止ないし制限するものではないから,前記の者らの主張する「米を作る権利」を侵害するものではなく,また,天候不順等による米不足により飢餓が発生して国民の生命や健康が侵害された事実は認められないから,同人らの主張する「生存権的人格権」を違法に侵害するものでもないとして,前記請求を棄却した事例
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