裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成11(行コ)27
- 事件名
損害賠償住民訴訟控訴事件(原審・津地方裁判所平成10年(行ウ)第9号)
- 裁判年月日
平成13年8月21日
- 裁判所名
名古屋高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市の水道メーター購入に係る売買契約において業者間で談合がされた結果,落札価格が不当に高くなり,市は談合がなければ形成されたであろう売買代金額との差額分の損害を被ったにもかかわらず,市の水道事業管理者は前記業者らに対する損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項3号に基づき市の水道事業管理者に対してされた前記怠る事実の違法確認を求める訴えが,同訴えに係る住民監査請求には,同法242条2項の監査請求期間の制限の適用がないとして,適法とされた事例 2 市の水道メーター購入に係る売買契約において業者間で談合がされた結果,落札価格が不当に高くなり,市は談合がなければ形成されたであろう売買代金額との差額分の損害を被ったとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項3号に基づき市の水道事業管理者に対してされた怠る事実の違法確認を求める請求及び同項4号に基づき市に代位してされた怠る事実の相手方である業者らに対する損害賠償請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 市の水道メーター購入に係る売買契約において業者間で談合がされた結果,落札価格が不当に高くなり,市は談合がなければ形成されたであろう売買代金額との差額分の損害を被ったにもかかわらず,市の水道事業管理者は前記業者らに対する損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項3号に基づき市の水道事業管理者に対してされた前記怠る事実の違法確認を求める訴えにつき,同法242条2項が適用されるのは,監査請求の対象を財務会計職員の行為の違法と構成すれば足りるものを,あえて怠る事実として構成する場合等,財務会計職員の行為と怠る事実とが表裏一体の関係にある場合であるとした上,前記監査請求の対象事項である怠る事実に係る損害賠償請求権は,前記業者間の談合という不法行為を根拠とするものであり,談合後に財務会計職員がする購入契約等の財務会計上の行為は,談合という違法行為により生じた因果経過の中でなされた後続行為にすぎず,談合に後続するに過ぎない財務会計職員の行為と,談合の結果生じた業者に対する不法行為に基づく損害賠償請求を怠る事実との間に前記の表裏一体の関係があるとは認められないから,前記監査請求は,財務会計職員の行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって怠る事実とする場合に当たるということはできず,同法242条2項の監査請求期間の制限の適用がないとして,前記訴えを適法とした事例 2 市の水道メーター購入に係る売買契約において業者間で談合がされた結果,落札価格が不当に高くなり,市は談合がなければ形成されたであろう売買代金額との差額分の損害を被ったとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項3号に基づき市の水道事業管理者に対してされた怠る事実の違法確認を求める請求及び同項4号に基づき市に代位してされた怠る事実の相手方である業者らに対する損害賠償請求につき,前記業者らが他の地方自治体の水道メーターの受注に関して独占禁止法違反行為を繰り返したことから,当該市においても談合したであろうと推測し,公正取引委員会が告発した後の水道メーター価格が大幅に下落したことや他の地方自治体において水道メーター調達方式を変更したところ価格が下落したという水道メーターの価格の動きが必ずしも前記推測と矛盾しないことから前記推測が裏付けられたと主張立証するだけでは単なる疑惑の提示の域を出ていないこと,前記告発後の水道メーターの在庫の増加や過当競争等が前記価格下落の要因となった可能性を一概に否定し難いこと等から,前記談合により価格が不当につり上げられていたとの事実が証明されたとはいえないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例
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