裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
行政事件
- 事件番号
平成9(行ウ)3
- 事件名
違法支出公金返還等請求事件
- 裁判年月日
平成13年7月18日
- 裁判所名
神戸地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
町が戦没者を追悼する趣旨で,遺族に追悼文を添えて線香又はローソクを配布したことが憲法20条3項,89条等に違反するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,その購入費用等相当額について,町長個人に対してされた損害賠償請求が,認容された事例
- 裁判要旨
町が戦没者を追悼する趣旨で,遺族に追悼文を添えて線香又はローソクを配布したことが憲法20条3項,89条等に違反するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,その購入費用等相当額について,町長個人に対してされた損害賠償請求につき,前記追悼文と線香又はローソクの配布は,戦没者の遺族に対してされたもので,その目的は戦没者に追悼の意を表することであるが,前記追悼文には「お盆,ご帰壇,英霊,お供え,合掌」というような宗教用語が使用されており,町として,諸英霊に対し,粗品をお供えし,謹んで哀悼の誠をささげる旨記載されていること,線香又はローソクは事前に遺族から配布の是非・要否を含めて希望を聞くことはせず,その対象となる遺族全部に対し,仏教を信仰している遺族には前記追悼文と線香を,神道を信仰している遺族には前記追悼文とローソクを配布しており,遺族の信仰している宗教によってお供えの種類を区別していること,配布時期がお盆の時期であることに照らすと,前記配布行為は,お盆の時期に戦没者の霊前にお供えする趣旨でされた宗教的色彩の強いものであって,一般人の意識からしても,宗教的意義を有するもので,世俗的に慣習化した行為であるとまでいえるものではなく,町長としても,それが宗教的意義を有していることを認識していたものと推認され,仏教または神道を信仰している者に対しても信仰していない者に対しても,町が仏教又は神道を援助又は助長しているとの印象を抱かせるものであるから,憲法20条3項,89条に違反するとして,前記請求を認容した事例
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