裁判例結果詳細

事件番号

平成10(行ウ)126

事件名

損害賠償請求事件

裁判年月日

平成13年6月25日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 東京都の特別区の区長が特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年法律第52号)及び「世田谷区せたがやの家の供給に関する条例」(平成6年世田谷区条例第17号)に基づいて共同賃貸住宅の建築主である元区議会議員の妻あてに建設費助成金及び家賃助成金として交付した補助金は,実質的には夫である前記元議員に交付されたものであるから,地方自治法92条の2及び232条の2に反する違法なものであるとして,同法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,区長個人に対してされた損害賠償請求が,認容された事例 2 東京都の特別区の区長が特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年法律第52号)及び「世田谷区せたがやの家の供給に関する条例」(平成6年世田谷区条例第17号)に基づいて共同賃貸住宅の建築主である元区議会議員の妻あてに建設費助成金及び家賃助成金として交付した補助金は,実質的には夫である前記元議員に交付されたものであるから,地方自治法92条の2及び232条の2に反する違法なものであるとして,同法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき,区長に対してされた補助金支出の差止請求が,認容された事例

裁判要旨

1 東京都の特別区の区長が特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年法律第52号)及び「世田谷区せたがやの家の供給に関する条例」(平成6年世田谷区条例第17号)に基づいて共同賃貸住宅の建築主である元区議会議員の妻あてに建設費助成金及び家賃助成金として交付した補助金は,実質的には夫である前記元議員に交付されたものであるから,地方自治法92条の2及び232条の2に反する違法なものであるとして,同法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,区長個人に対してされた損害賠償請求につき,前記補助金は実質的には前記元議員,前記妻ら住宅の共有者3名に対して交付されたものと認められるところ,前記条例による世田谷区せたがやの家供給制度全体の構造からみると,区議会議員がこの制度により実質的な住宅供給者になり,助成金の交付を受けることは,その継続的な取引関係の存在と利益の内容からして,同法92条の2の趣旨に反するものであることは明らかであり,同条が地方公共団体の公正な運営の確保という地方自治制度の根幹にかかわるものであることからすると,賃貸住宅の確保によって得られる区及び区民の利益を考慮しても,同法232条の2にいう公益性を満たすものではないことが一見して明らかであるから,前記補助金交付の公益性についての判断には裁量権の逸脱があったといわざるを得ず,したがって,同補助金の交付は同法232条の2に反する違法な公金の支出に当たるとして,前記請求を認容した事例 2 東京都の特別区の区長が特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年法律第52号)及び「世田谷区せたがやの家の供給に関する条例」(平成6年世田谷区条例第17号)に基づいて共同賃貸住宅の建築主である元区議会議員の妻あてに建設費助成金及び家賃助成金として交付した補助金は,実質的には夫である前記元議員に交付されたものであるから,地方自治法92条の2及び232条の2に反する違法なものであるとして,同法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき,区長に対してされた補助金の支出差止請求につき,今後も補助金の交付が継続されることが予想される上に,その交付額は1年で約1700万円という高額にのぼるものであって,いったん支給されると区長らに対する損害賠償請求等が困難になるおそれがあるとして,前記請求を認容した事例

全文

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