裁判例結果詳細

事件番号

平成11(行ウ)234

事件名

損害賠償請求事件

裁判年月日

平成13年6月14日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

一部事務組合の職員に対する特殊勤務手当の支給が給与条例主義に違反し違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,前記一部事務組合に代位して同組合の事務局長ら各個人に対してされた損害賠償請求が,一部認容された事例

裁判要旨

一部事務組合の職員に対する特殊勤務手当の支給が給与条例主義に違反し違法であるなどとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,前記一部事務組合に代位して同組合の事務局長ら各個人に対してされた損害賠償請求につき,給与条例主義の趣旨からすれば,給与の種類,額,支給方法等の給与に関する基本的事項については,たとえ規則等の定めに委ねる方が適当であるとの議会の判断が存するとしても,これらの事項までを規則等の定めにゆだねることは給与条例主義にもとり,許されないものであるところ,東京都六市競艇事業組合職員の給与に関する条例(昭和48年東京都六市競艇事業組合条例第8号。以下「給与条例」という。)を改正する平成11年東京都六市競艇事業組合条例第6号の附則3項は,同条例の施行日前に改正前の給与条例及び東京都六市競艇事業組合職員の特殊勤務手当支給規則(昭和55年東京都六市競艇事業組合規則第3号)に基づき支給された前記特殊勤務手当のうち,同条例による改正後の給与条例において規定されている特殊勤務手当と「同種の手当」といえるものについて,さかのぼって同条例に基づいて支給された手当とみなすものとし,その範囲において瑕疵が治癒されることとなったが,前記「同種の手当」といえるか否かは,単にその名目だけではなく,支給の要件及びその内容等の点から,実質的にみて,改正後の給与条例に定められた特殊勤務手当と同種のものといえるか否かによって判断すべきであるとした上,前記支給に係る特殊勤務手当のうち前検日(競艇が開催される日の前日)に係る前検日開催手当については,改正後の給与条例において開催手当の支給対象から外されていることから,前記「同種の手当」に当たらないが,それ以外のものは,前記「同種の手当」に当たり,給与条例主義違反の瑕疵は治癒されたものと認められるとし,さらに,地方自治法204条が職員に対し支給し得る手当の種類を限定列挙していること,国家公務員に対して支給される特殊勤務手当との均衡等にかんがみると,特殊勤務手当の支給の対象となる勤務は,(1)著しく困難な勤務その他著しく特殊な勤務であること,(2)給与上特別の考慮を必要とすること,(3)勤務の特殊性を給料で考慮することが適当でないことの三つの要件を具備する必要があり,特殊勤務手当の支給に関し,たとえ条例に定めがあるとしても,前記各要件を満たさない勤務に対して支給する旨の条例の定めは,議会に与えられた裁量権を著しく濫用又は逸脱するものとして無効というほかなく,そのような規定に基づく特殊勤務手当の支給は違法であるとした上,改正後の給与条例に定める各特殊勤務手当のうち,競艇場において執務する職員に対し支給された開催手当及び庁用自動車運転手当については,それらが前記各要件を満たすとした議会の判断が著しく妥当性欠くものとはいえず,その支給は適法であるが,本部事務所において勤務する総務委員に対する開催日手当の支給については,同委員は開催日に特別の精神的な緊張を強いられた勤務を行っていたものとは認め難く,その勤務が「著しく困難な勤務その他著しく特殊な勤務」に当たる事情は認め難いから,開催日手当に関する改正後の給与条例は,前記各要件を満たさない者に対してまで開催手当を支給する旨を定めた限度で,議会に与えられた裁量権を著しく濫用又は逸脱したものとして無効というほかなく,その支給は適法な条例の根拠を欠く違法な支出であるとして,前記請求を一部認容した事例

全文

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