裁判例結果詳細

事件番号

平成12(行ウ)38

事件名

登記申請却下決定取消請求事件

裁判年月日

平成13年5月30日

裁判所名

名古屋地方裁判所

分野

行政

判示事項

不動産登記法100条1項2号に基づく土地の所有権保存登記申請について,所有権を証する書面の添付がないことなどを理由としてした登記官の却下処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

表示登記はされているが権利登記がされていない土地につき,表題部の名義人が「共有総代」として総代1名が表示されているのみで,他の共有者が不明である場合に,不動産登記法100条1項2号に基づく所有権保存登記申請について前記登記の申請者が提出した所有権を確認する確定判決が,前記総代の承継人のみを被告とし,かつ,同判決がいわゆる欠席判決であること,また,同被告が総代の承継人であることの戸籍謄本等が添付されていなかったとして登記官がした前記申請の却下処分の取消請求につき,同号所定の判決に該当するためには,表題部に所有者として記載された者又はその承継人が当該訴訟手続上の当事者たる地位を認められ,現実に自己の利益を防御する機会を与えられた上で形成されたことが必要であり,権利者が複数存在する場合には,表示された権利者又はその承継人全員を被告として提起することが必要であるが,同法は登記簿に現れていない実体上の所有者を探知し,これに対しても手続保障を与えようとするものではないと解されるところ,他の権利者が誰であるか登記簿上何らの手がかりもなく,かえって前記土地周辺の明治期の利用状況から構成員の持分を想定できない入会地だったとも推測できるから,結局,前記手続保障を与える対象者は前記総代しか考えられず,かつ,同人に手続保障を与えることで満足すべきであり,前記判決は手続保障としての当事者要件を充足すると判断するのが相当であるとし,弁論主義を採用する民事訴訟法の下では,証拠に基づく判決と自白に基づく判決との間に差別は設けられていないから,いわゆる欠席判決であっても,前記申請人が前記土地の所有権者であることを認める内容のものであれば同号にいう判決に該当するとし,また,戸籍謄本等が添付されていない点については,前記却下処分をするに当たり同法101条1項本文の「必要ナル証明書類」を追完する機会を与えるべきであったとして,前記取消請求を認容した事例

全文

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