裁判例結果詳細

事件番号

平成12(行ウ)10

事件名

登記申請却下処分取消等請求事件

裁判年月日

平成13年5月28日

裁判所名

札幌地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 有限会社が「幼稚園の経営」等を会社の目的とする変更登記申請をしたのに対し,登記官が同申請を却下した場合において,前記有限会社がした同申請受理を求める訴えが,却下された事例 2 有限会社が「幼稚園の経営」等を会社の目的とする変更登記申請をしたのに対し,登記官がした同申請の却下処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

1 有限会社が「幼稚園の経営」等を会社の目的とする変更登記申請をしたのに対し,登記官が同申請を却下した場合において,前記有限会社がした同申請受理を求める訴えにつき,同訴えは,行政庁である法務局登記官に対して,登記申請受理という行政処分を求めるものであることから,無名抗告訴訟である義務付け訴訟の性質を有しているところ,前記却下処分の取消請求によって目的を達し得るものであり,前記訴えを認めなければならない特段の事情もないとして,前記訴えを却下した事例 2 有限会社が「幼稚園の経営」等を会社の目的とする変更登記申請をしたのに対し,登記官がした同申請の却下処分の取消請求につき,学校教育法(平成15年法律第117号,同119号による改正前)2条1項が幼稚園等の学校の設置主体を国,地方公共団体及び学校法人に限定している趣旨は,学校の公共性の認識に基づいて学校設置者の確実性,公共性を担保しようとすることにあると解されるところ,同法(平成19年法律第96号による改正前)102条1項は,私立の盲学校,聾学校,養護学校及び幼稚園について,同法2条1項の規定にかかわらず,当分の間,学校法人によって設置されることを要しないと定めているが,その趣旨は,これらの学校が多くの場合比較的小規模であって,必ずしも学校法人のようにまとまった組織を必要としないと考えられるとともに,これらの学校は発展の途上にあり,制定当時においてはその質的充実よりも量的普及が期待されるという理由に基づくものであり,同法の附則として制定されていることや「当分の間」という限定文言が付されていることなどをあわせ考えると,一定の時期までの効力に限定される経過規定であると解されること,また,昭和50年に制定された私立学校法の一部を改正する法律において,学校法人以外の学校の設置者に対しても,学校法人と同様に公費助成の対象とする一方,補助金を受けた場合には5年以内に学校法人となるように措置するものとして,私立学校の学校法人化が進められていること,全国における私立幼稚園の設置状況を見ると,学校法人による設立が大多数となっており,営利法人立はほとんどないことなど,学校教育法の等の趣旨,学校行政実務及び実際の設置状況等からすると,少なくとも営利法人による幼稚園の設置については,今日においてもはや学校教育法(平成19年法律第96号による改正前)102条1項が適用される余地はなく,同法(平成15年法律第117号,同119号による改正前)2条1項により許容されないと解されるから,「幼稚園の経営」は有限会社の目的として適法性を欠くとして,前記請求を棄却した事例

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