裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
行政事件
- 事件番号
平成11(行コ)5
- 事件名
公金支出差止等請求控訴事件(原審・岡山地方裁判所平成8年(行ウ)第1号)
- 裁判年月日
平成13年3月29日
- 裁判所名
広島高等裁判所 岡山支部
- 分野
行政
- 判示事項
町が条例に基づき町内に複数の区を設置し,各区に区長等を置いたことは地方自治法(平成18年法律53号による改正前)252条の20第1項,3項,憲法92条に違反するから,前記区長等に対する報酬等の支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき町長個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
町が条例に基づき町内に複数の区を設置し,各区に区長等を置いたことは地方自治法(平成18年法律53号による改正前)252条の20第1項,3項,憲法92条に違反するから,前記区長等に対する報酬等の支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき町長個人に対してされた損害賠償請求につき,町内会及び部落会は,戦前に市町村の下部組織として組み込まれ,大政翼賛体制の末端を担ったため,戦後は占領軍から廃止の指令を受け,そのような状況の中で制定された地方自治法においても,その法的地位が奪われたこと等の経緯に照らすと,地方自治法155条1項等は,町内会等が市町村長の下部組織として組み込まれることを禁止していると解すことができるとした上,前記条例に基づいて設置された区は,戦前から存続する部落を基盤とする部落住民の地域団体的な住民組織であるから,地方自治法が行政組織の一部とすることを禁止している部落会そのものというべきであり,また,前記条例は,前記区の代表者である区長について,その職務を「町政の伝達,調査及び町民の意見,要望等の取りまとめその他町政運営上必要な事項について町長に協力し,地域社会の発展に努めるものとする。」と規定し,区長に対し特別職の非常勤公務員として報酬を支払うこととしているところ,同職務内容は正に町長の権限に属する行政事務であるから,区長設置条例は,前記区の代表者を町長の下で末端行政を担うものと位置づけ,ひいては前記区を行政組織の一部として組み込んでいると見るべきであるから,前記条例は,地方自治法155条1項,260条の2第6項等の立法趣旨に反する違法なものであり,同条例に基づく前記支出も違法であるが,前記条例に基づく報酬等の支給は,前記町長個人が町長に就任する以前から同町において長く行われてきたものであり,また,県内における他の町においても,同様の制度が採用されていることからすると,前記支出当時,同支出が違法であることについて前記町長個人の故意又は過失を認めることはできないとして,前記請求を棄却した事例
- 全文