裁判例結果詳細

事件番号

平成11(行ウ)26

事件名

損害賠償等請求事件

裁判年月日

平成13年3月26日

裁判所名

浦和地方裁判所

分野

行政

判示事項

市の庁用バス運行業務の委託契約締結のために実施した指名競争入札手続において最低制限価額を設定したことが違法であるとして,市長個人に対してされた地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求が,一部認容された事例

裁判要旨

市の庁用バス運行業務の委託契約締結のために実施した指名競争入札手続において最低制限価額を設定したことが違法であるとして,市長個人に対してされた地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求につき,普通地方公共団体の長は,当該公共団体の支出の原因となる契約のうち,工事又は製造の請負の契約に限って,最低制限価額を設け,これを下回る入札者を排除することが許されると解するのが相当であり,普通地方公共団体が,これらの契約以外の支出の原因となる契約を締結するために指名競争入札を実施する場合にまで,最低制限価格を設定し,当該価格以上の価格をもって申込みをした者のうち,最低の価格の申込者を落札者とする方法を採用することは許されず,普通地方公共団体が工事又は製造の請負の契約以外の支出の原因となる契約を締結する場合において,行政上その契約の履行水準を一定以上に保つ必要から,履行水準を維持するために相当と認められる価格に満たない不合理な価格での落札者を排除する等合理的な行政目的達成の必要上やむを得ない事情がある場合には随意契約の方式によって行うことができると解するのが相当であるところ,前記委託契約は庁用バス運行業務の委託契約であって,工事又は製造の請負の契約に該当しないから,最低制限価格を設定した上で実施された指名競争入札の手続に基づいてされた前記委託契約の締結は違法であり,前記委託契約は市の行政上目的達成のための交通手段を継続的,安定的,かつ安全に確保することを目的とし,職員,住民等の生命,身体の安全に直接関わるものであるから,行政上その契約の履行水準を良好な状態で確実に維持する必要があり,指名競争入札に付した場合に最低入札価格が前記履行水準に見合う業務を維持するために相当と認められる価格を下回るおそれがあるときには,相当価格に満たない不合理な価格での落札者を排除する合理的な行政目的があったものといえるから,前記委託契約は,随意契約の方式により締結されるのが相当であったものであるとし,市は,随意契約の形式で締結された場合の委託料相当額と市が委託料として支払った価格との差額相当の損害を被ったこととなるとして,前記請求を一部認容した事例

全文

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