裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成10(行ウ)48
- 事件名
公金支出差止等請求事件(甲事件)平成10年(行ウ)第54号 損害賠償請求事件(乙事件)平成11年(行ウ)第30号 損害賠償請求事件(丙事件)
- 裁判年月日
平成13年3月2日
- 裁判所名
名古屋地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 水資源開発公団に対する長良川河口堰の建設事業負担金等の支払資金に充てるため,県が一般会計から特別会計に,長期貸付等の方法により公金を支出するのは違法であるとしてされた地方自治法242条の2第1項1号に基づく同支出の差止請求が,棄却された事例 2 水資源開発公団に対する長良川河口堰の建設事業負担金等の支払資金に充てるため,県が一般会計から特別会計に,長期貸付の方法等により公金を支出するのは違法であるとしてした地方自治法242条の2第1項4号に基づく県知事個人らに対する損害賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 水資源開発公団に対する長良川河口堰の建設事業負担金等の支払資金に充てるため,県が一般会計から特別会計に,長期貸付等の方法により公金を支出するのは違法であるとしてされた地方自治法242条の2第1項1号に基づく同支出の差止請求につき,地方公共団体の一般会計から特別会計への繰入支出は,地方公共団体における会計間の繰入であっても,国家財政と同様,同法242条1項の「公金支出」の「支出」に当たり,また,地方公共団体外へ支出がされるのと同様,住民全体の利益のために確保されるべき一般会計の予算支出を減少させ,住民全体の利益を害するおそれがあると認められ,前記繰入支出に関する行為がされた段階で財産的損害が発生したと同視すべきものであるから,一般に,住民訴訟の対象となる同項の「公金支出」に当たると解されるところ,前記貸付等は,前記支出後,直ちに前記特別会計から前記公団に同額の支出がなされるのであるから,住民全体の利益を害するおそれのあるものというべきであり,住民訴訟の対象となるとした上,前記請求が認められるためには,前記貸付けの原因行為に違法事由が存する場合であっても,これを前提としてされた前記貸付けそれ自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであることが必要であるところ,前記貸付行為が財務会計法規上違法である事実の具体的主張がないとして,前記請求を棄却した事例 2 水資源開発公団に対する長良川河口堰の建設事業負担金等の支払資金に充てるため,県が一般会計から特別会計に,長期貸付等の方法により公金を支出するのは違法であるとしてした地方自治法242条の2第1項4号に基づく県知事個人及び県出納長個人に対する損害賠償請求につき,地方公共団体の一般会計から特別会計への繰入支出は,地方公共団体間における会計間の繰入れであっても,国家財政と同様,同法242条第1項の「公金支出」の「支出」に当たり,また,地方公共団体への支出がされるのと同様,住民全体の利益のために確保されるべき一般会計の予算支出を減少させ,住民全体の利益を害するおそれがあると認められ,前記繰入支出に関する行為がされた段階で財産的損害が発生したと同視すべきものであるから,一般に,住民訴訟の対象となる「公金支出」とあたるものと解されるところ,前記貸付等は,前記支出後,直ちに前記特別会計から前記公団に同額の支出がされるのであるから住民全体の利益を害するおそれがあり,住民訴訟の対象となるとし,また,公金の支出の差止めを求める監査請求には同公金の支出がされたことによる損害賠償請求に関する監査請求が含まれると解されるから,当該公金の支出がされたことによる新たな監査請求をしなくても,当該公金の支出が違法であることを理由に同法242条の2第1項4号前段の当該職員に対する損害賠償請求の訴えを提起することができるとした上,市長らに損害賠償責任を問うことができるのは,前記貸付それ自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであることが必要であるところ,前記貸付行為が財務会計法規上違法である事実の具体的主張がないとして,前記請求を棄却した事例
- 全文