裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成10(行ウ)72
- 事件名
審査決定取消請求事件
- 裁判年月日
平成13年2月27日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求が,認容された事例 2 固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消訴訟において,前記決定の全部を取り消した事例
- 裁判要旨
1 固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,固定資産税の課税対象となる土地は極めて大量に存在することから,限りある人的資源により,時間的制約の下において,大量の土地について可及的に賦課期日における適正な時価を評価する技術的方法と基準を規定した固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)が定められているところ,統一的な評価基準による評価によって各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消しようとするのが,地方税法及び同評価基準の趣旨であるから,登録価格の評定が同評価基準に適合しない場合には,その登録価格の決定は地方税法に反するものというべきであるとした上,前記宅地の登録価格の算定における画地認定が同評価基準等に適合しない違法があるとして,前記請求を認容した事例 2 固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消訴訟において,同決定において判断された価格は,基準年度に係る賦課期日における当該固定資産の適正な時価という一個の評価的事実であるから,地方税法は,その一部に関する部分のみが取消訴訟において争われ,残部が別途に確定するという事態は予定していないというべきであり,仮に前記決定が可分なものであって,その一部のみの取消しを訴求することが認められるとすると,請求が認容された場合には,同委員会は審査申出に対して応答すべき義務の履行として改めて当該部分についての決定を行うべきこととなるが,その結果,新たな決定と訴訟の対象とならなかった決定の残部の両方が存在することになって,これらの間の論理的な整合も期し難い結果となり,これに対し,判決において前記決定のうちの価格の一部又は全部を取り消した場合には,その部分については同委員会が改めて決定する義務は生じず,前記決定のうち取り消されなかった部分のみの効力が存続すると考える余地もあるが,その考え方は行政事件訴訟法33条2項の規定に反するものであるし,また,地方税法には,判決の結果に基づいて直ちに市町村長が固定資産台帳に登録された価格等を修正すべき事態が生ずることを予定した規定がないことからすれば,同法は,取消訴訟において固定資産評価審査委員会の決定のうち価格の認定に誤りがあると判断された場合には,改めて同委員会による決定がされることを前提としているというべきであるなどとして,前記決定の全部を取り消した事例
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