裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成12(行コ)42
- 事件名
文書非開示処分取消請求控訴事件(原審・和歌山地方裁判所平成10年(行ウ)第12号)
- 裁判年月日
平成12年12月26日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 和歌山県公文書の開示に関する条例(平成5年和歌山県条例第2号)に基づいてされた公共工事等の入札に関する資料の開示請求に対し,県知事が当該資料のうちの予定価格調書についてした非開示決定に対する取消請求について,当該決定がされた後に,請求人が前記調書に記載された情報の内容を公文書の開示以外の方法で知り又は知り得る状態になったとしても,訴えの利益があるとした事例 2 和歌山県公文書の開示に関する条例(平成5年和歌山県条例第2号)に基づいてされた公共工事等の入札に関する資料の開示請求に対し,県知事が当該資料のうちの予定価格調書についてした非開示決定に対する取消請求が,認容された事例
- 裁判要旨
1 和歌山県公文書の開示に関する条例(平成5年和歌山県条例第2号)に基づいてされた公共工事等の入札に関する資料の開示請求に対し,県知事が当該資料のうちの予定価格調書についてした非開示決定に対する取消請求について,当該決定がされた後に,請求人が前記調書に記載された情報の内容を公文書の開示以外の方法で知り又は知り得る状態になったとしても,訴えの利益があるかにつき,同条例において開示の対象とされているのは文書に記録されている情報そのものではなく公文書であり,また,開示請求に係る文書に記録されている情報内容そのものを請求人が知り又は知り得る状態にあるとしても,そのことが非開示事由となる旨の定めは同条例にはなく,さらに,同条例の定める公文書の開示方法は「公文書を閲覧に供し,又は公文書の写しを交付する」ことであることからすれば,非開示決定がされた後に,開示請求の対象とされた情報内容が公文書の開示以外の方法で請求人の知るところとなり又はその知り得る状態になったとしても,同条例に定められた開示方法に従って公文書の開示を受けるという法律上の利益は消滅しないというべきであるとして,訴えの利益があるとした事例 2 和歌山県公文書の開示に関する条例(平成5年和歌山県条例第2号)に基づいてされた公共工事等の入札に関する資料の開示請求に対し,県知事が当該資料のうちの予定価格調書についてした非開示決定に対する取消請求につき,同条例9条8号所定の「特定のものに不当な利益もしくは不利益が生ずるおそれ」や「和歌山県の行う今後の入札契約締結事務の公正及び円滑な執行に支障が生じるおそれ」に当たるというためには,単にそのような蓋然性があるというだけでは足りず,公文書の開示によってそのような事態を招致する具体的な可能性のあることが客観的に認められる場合であることを要するとした上で,前記予定価格調書に記載されている最低制限価格は,これを事後公表したとしても,以後の入札における競争性の低下や,工事の安全性の低下が生ずる具体的可能性を認めることはできないから,同号に定める公共秩序維持情報や事務事業情報には当たらないとして,前記請求を認容した事例
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