裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行ウ)6

事件名

損害賠償代位請求事件

裁判年月日

平成12年11月15日

裁判所名

富山地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 県が実施した指名競争入札の方法により発注した工事において,同指名競争入札に参加した業者らの談合により不当に請負代金が釣り上げられており,その結果,県は,談合がなければ形成されたであろう請負代金額との差額分の損害を被ったにもかかわらず,損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して前記業者らに対してされた損害賠償の訴えが,同法242条2項の監査請求期間を徒過し,かつ,監査請求期間を経過したことにつき正当な理由も認められないとして,一部却下された事例2 県が実施した指名競争入札の方法により発注した工事において,同指名競争入札に参加した業者らの談合により,県は,談合がなければ形成されたであろう落札代金と業者に支払われた請負代金額との差額分の損害を被ったにもかかわらず,損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位してした怠る事実の相手方である前記業者らに対する損害賠償請求が,一部認容された事例  

裁判要旨

1 県が実施した指名競争入札の方法により発注した工事において,同指名競争入札に参加した業者らの談合により不当に請負代金が釣り上げられており,その結果,県は,談合がなければ形成されたであろう請負代金額との差額分の損害を被ったにもかかわらず,損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して前記業者らに対してされた損害賠償の訴えにつき,通常,違法又は不当な当該行為の是正措置となるべき実体法上の請求権の不行使をもって「財産の管理を怠る事実」とする監査請求についてとられるべき是正措置は,同違法又は不当な当該行為そのものの監査請求においてとられるべき是正措置と実質上重なりある関係にあるので,当該行為の是正措置となるべき実体法上の請求権の不行使をもって「財産の管理を怠る事実」とする監査請求の機会についても,特段の事情のない限り,当該行為の監査請求の機会と同様に当該行為のあった日又は終わった日から一年の経過により失われるものと解されるから,前記訴えに係る住民監査請求には同法242条2項の監査請求期間の制限の適用があるとした上,住民が,前記行為がなされた時点又はそれに近接する時点においては,当該行為の存在やその違法又は不当を疑わせる事実をおよそ知り得ない状況であった場合には,住民が相当の注意力をもって調査したときに当該行為の存在とその違法又は不当を疑わせる事実を知ることができたといえる時点から監査請求の準備に必要な相当期間内に監査請求をしていれば,正当な理由があるというべきであるところ,談合が行われた事実を知り得た時点から約3か月半後経過してされた前記住民監査請求は相当な期間内にされたものということはできず,監査請求期間を経過したことにつき正当な理由があったとは認められないとして,前記訴えの一部を却下した事例2 県が実施した指名競争入札の方法により発注した工事において,同指名競争入札に参加した業者らの談合により,県は,談合がなければ形成されたであろう落札代金と業者に支払われた請負代金額との差額分の損害を被ったにもかかわらず,損害賠償請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位してした怠る事実の相手方である前記業者らに対する損害賠償請求につき,前記業者らは,前記工事をめぐる競争入札妨害被疑事件にかかる検察官の取調べにおいて,談合をしない場合の入札価格は最低制限価格付近の金額であり,談合による入札価格より10パーセント以上下げるなどと供述していることに加え,他の業者による同種の工事の入札価格見積り等を総合すると,談合が行わなければ,現実の落札価格より少なくとも10パーセント低い価格で落札されたと推認されることから,県は談合により同金額の損害を被ったと認めるのが相当であるとして,前記請求を一部認容した事例

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