裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成10(行コ)49
- 事件名
児童扶養手当受給資格喪失処分取消請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成7年(行ウ)第22号事件)
- 裁判年月日
平成12年5月16日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
母が婚姻によらないで懐胎した児童が,その後父から認知されたことを理由としてした児童扶養手当受給資格喪失処分の取消請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
母が婚姻によらないで懐胎した児童が,その後父から認知されたことを理由としてした児童扶養手当受給資格喪失処分の取消請求につき,児童扶養手当法施行令(昭和36年政令第405号,平成10年政令第224号による改正前)1条の2第3号は,「(父から認知された児童を除く。)」と規定する括弧書きを除いた本文の積極要件と同括弧書きの消極要件から構成されているから,裁判所が同括弧書きを無効と判断することは,それにより消極要件が無効とされるだけであって,積極要件を創設するものではないから,同括弧書きが無効であるかどうかを判断することは支給要件を創設したことにはならず,司法権の範囲を逸脱するものということはできないとした上,政令制定権者である政府は,父と生計を同じくしていない児童及びこれに準じる児童で,生活状態の悪化または生活の困窮が見込まれる児童のうち,どのような児童を対象とするかを,裁量により決定することができるものであるところ,婚姻によらない母子状態にある世帯の児童は,そもそも当初から法律的な父がいない状態であり,父と生計を同じくしない児童としての手当の支給を受けるが,認知を受けることにより,法律上は父のいない状態から脱却し,父には監護,養育の義務が生じ,母から養育費の請求ができることになり,生活環境の好転があったと評価できるから,立法あるいは委任を受けた内閣が,現実には,父から養育費の支給を受けることは少ないといった現実の状況を考慮しなかったことをもって,認知を受けることによって,児童手当が支給されなくなるといった区別が法の下の平等を保障した憲法14条に違反しているとか,政令が明らかに裁量の逸脱,濫用とみることはできないなどとして,前記請求を棄却した事例
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