裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行ウ)20

事件名

損害賠償請求事件

裁判年月日

平成12年4月28日

裁判所名

大阪地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 市の職員に対し定年退職日以降も引き続き勤務させる勤務延長の措置を採ったことが市定年条例に反して違法であり,市長の同職員に対する給与等の支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,当時の市長個人に対して損害賠償を求める訴えが,一部却下された事例 2 市の職員を定年退職日以降も引き続き勤務させる勤務延長の措置を採ったこと等が違法であり,市長の同職員に対する給与等の支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して、当時の市長個人に対して損害賠償を求める請求が,認容された事例

裁判要旨

1 市の職員に対し定年退職日以降も引き続き勤務させる勤務延長の措置を採ったことが市定年条例に反して違法であり,市長の同職員に対する給与等の支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,当時の市長個人に対して損害賠償を求める訴えにつき,同法242条2項は,財務会計上の行為として契約の締結,公金の支出,財産の取得等を列挙していること,通常は各個別の財務会計上の行為についてそれぞれ独立してその違法性,不当性を問題とし得ること,法が監査請求期間を1年と限定したのは,地方公共団体の機関又は職員の行為をいつまでも争い得る状態にしておくことが法的安定性の観点から妥当ではないためであると解されることからすると,監査請求期間も個々の財務会計行為ごとに判断すべきであるが,格別の財務会計上の行為が観念できる場合であっても,それぞれが相互に密接に関連し不可分一体となり,全体としてみなければその違法性あるいは不当性を判断することができないような特段の事情がある場合には,これを一体としてとらえ,最終的な財務会計上の行為が行われた日をもって当該行為の終わった日と解すべきところ,前記給与に係る各支出命令はそれぞれ個別の根拠に基づいて発せられ,それぞれ個別の財務会計法規がこれを規律しているものであり,これを一体としてとらえるべき特段の事情は認められないから,前記支出命令の日から1年を経過した後に監査請求がされた部分は監査請求期間を徒過したものというべきであり,監査請求期間を徒過したことに正当な理由を認めることができないとして,前記訴えを一部却下した事例 2 市の職員を定年退職日以降も引き続き勤務させる勤務延長の措置を採ったこと等が違法であり,市長の同職員に対する給与等の支出も違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,当時の市長個人に対して損害賠償を求める請求につき,前記勤務延長は市定年条例4条の要件を満たさない違法なものであり,市定年条例上市長が勤務延長の措置を採るか否か,又は,勤務延長期限の延長の承認をするか否かの権限を市長が有する職員については,前記給与等に関する各支出命令の段階においても,予算執行権限を有する市長に対し、違法な勤務延長を是正すべき財務会計法規上の行為規範が課されているというべきであり,市長から前記各支出命令につき予算執行権限を専決させられた庶務担当課長に対しても,本来の権限者である市長と同様の行為規範が課されているというべきであるから,前記行為規範に反して,何らの是正措置を採らなかった庶務担当課長による前記各支出命令は財務会計法規に違反して違法なものであり,かつ,市長は,少なくとも過失によって,補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,前記庶務担当課長による違法な支出命令を阻止しなかったとして,前記請求を認容した事例

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