裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行ウ)172

事件名

文書非開示処分取消請求事件

裁判年月日

平成12年4月27日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 文書不存在を理由とする公文書の非開示決定の取消訴訟における文書の存否に関する立証責任 2 市土地開発公社の作成した同公社の買収した土地に係る売買契約書が,武蔵野市情報公開条例(平成元年武蔵野市条例第7号)で開示請求の対象として規定されている「公文書」に当たるとされた事例 3 市土地開発公社が買収した土地に係る売買契約書に記載された売買代金額が,武蔵野市情報公開条例(平成元年武蔵野市条例第7号)11条2号に非開示事由として規定されている個人識別情報に当たらないとされた事例

裁判要旨

1 文書不存在を理由とする公文書の非開示決定の取消訴訟における文書の存否に関する立証責任につき,条例の規定によれば,公文書の開示請求権が発生するためには,実施機関が当該文書を管理していることが要件となり,実施機関が当該文書を管理しているというためには,当該文書が存在することが当然の前提となるから,当該文書の存在は,当該文書に係る開示請求権が発生するための必須の要件というべきであって,文書の開示請求者が立証責任を負うものと解すべきである。 2 市土地開発公社の作成した同公社が買収した土地に係る売買契約書につき,同公社が当該土地の取得のための資金を銀行等から借り入れるに際し,市は債務保証を行った上,将来当該土地を公社の取得代金に銀行等からの借入資金に係る利息を加えた金額で買い取ることになるのであるから,同公社が市の委託を受けて土地を取得した場合には,同公社は受託者として少なくとも当該土地に係る売買契約書の写しを交付して市に対し売買の成立について報告し,債務保証を受ける金額について証明するのが当然であることや,市と同公社の各事務所の所在,人員構成,職務の分担,関係文書の保管,利用状況等を考え併せると,前記売買契約書は同公社が作成したものではあるが,実質的には市が同公社から同契約書の写しの交付を受ける代わりに,同契約書を市において取得したものと同様に利用することができるとの黙示の合意の下に,これを市長と同公社とが共同で管理しているものと評価するのが相当であるとして,同契約書は武蔵野市情報公開条例(平成元年武蔵野市条例第7号)で開示請求の対象として規定されている「公文書」に該当するとした事例 3 市土地開発公社が買収した土地に係る売買契約書に記載された売買代金額につき,それ自体では直接的に個人を識別し得る情報ではなく,売買契約の当事者がだれであるかといった情報と結合することにより個人を識別し得る情報となるものであって,個人的情報の端緒となるにすぎないものであること,前記売買契約は公的な性質をある程度帯び,その限度で特殊性を有する売買であり,その売買代金額も基本的には公示価格を基準として算出される一定の範囲に限られることなどからすれば,当該売買代金額のプライバシーとしての要保護性はそれほど強くはなく,同公社は市に必要な公有地となるべき土地等の取得等を行うものであり,同公社が取得した土地等は最終的には市の財政の負担に帰せしめられるところ,売買代金額は同公社の譲渡価格を判別させる情報であり,市政に関する情報の提供を通じて民主的な市政の発展に寄与するという武蔵野市情報公開条例(平成元年武蔵野市条例第7号)の目的からしても開示する必要性が大きいことからすると,前記代金額は,同条例11条2号に非開示事由として規定されている個人識別情報に当たらないとした事例

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