裁判例結果詳細

事件番号

平成11(行コ)197

事件名

土地価格に対する審査決定処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成8年(行ウ)第268号)

裁判年月日

平成12年4月19日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 固定資産税の課税標準となる土地の「適正な時価」の意義及びその算定基準時 2 固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,前記評価額は賦課期日における当該宅地の正当な手法により算定された客観的価格を超える額であり,同客観的価格を超える部分は違法であるとして,前記取消請求が,一部認容された事例

裁判要旨

1 地方税法349条1項は,基準年度に係る賦課期日に所在する土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されたものとすると規定し,同法341条5号は,固定資産税に関する「価格」という用語の意義は,「適正な時価をいう」と規定していることからすると,法が予定している登録価格は,基準年度に係る賦課期日,すなわち当該年度の1月1日時点における適正な時価であると解すべきであるところ,法は,賦課期日から評価事務に要する相当な期間を遡った時点を価格調査基準日とし,同基準日において調査された当該土地の価格を一つの資料として賦課期日における価格を算定することまで禁止するものではないが,その場合でも,価格調査基準日の価格をそのまま賦課期日における適正な時価とするのではなく,同価格を基礎とし,賦課期日までの地価の動向等諸般の事情を総合して将来の地価の下落率等を予測し,評価時点と賦課期日との間に地価の下落傾向がある場合には,その点を配慮して適正な時価を算定しなければならない。 2 固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,賦課期日における適正な時価の算定に当たり,評価基準を適用して評価するに際し,価格調査基準日の鑑定評価額を基礎として将来の地価の下落を価格に反映させるについて,将来の地価の下落率等を予測することには困難さが伴うことから,客観的時価を超えるという事態を避けるため,あらかじめ減額した価格をもって標準宅地の適正な時価と扱うことは,課税処分の謙抑性の観点から許容されると解されるところ,評価基準の取扱いに関する依命通達を改正したいわゆる7割評価通達は,結果的に前記のような控えめな算定の役割を果たしており,合理的なものというべきであり,土地基本法16条の趣旨を踏まえて地価公示価格等の公的土地評価の均衡化,適正化を目指すものであって,賦課期日までの時点修正を直接の目的とするものではないものの,評価基準の適用においては,7割評価という修正を加えられた標準宅地の価格が賦課期日における「適正な時価」とされているのであるから,標準宅地の価格の適否は,前記修正を加えられた価格が賦課期日における客観的時価を超えないものであるか否かによって判断すべきであるとした上,前記宅地の登録価格は「適正な時価」として算定された客観的価格を超えるものであるから同客観的価格を超える部分は違法であるとして,前記取消請求を一部認容した事例

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