裁判例結果詳細

事件番号

平成10(行ウ)11

事件名

公文書非公開決定無効確認等請求事件

裁判年月日

平成12年4月10日

裁判所名

大津地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された私人である出席者の氏名が,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条1号に非公開事由として規定する個人情報に該当しないとされた事例 2 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された町職員である出席者の氏名が,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条1号に非公開事由として規定する個人情報に該当しないとされた事例 3 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された請求者の従業員の氏名及び印影が,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条1号に非公開事由として規定する個人情報に該当しないとされた事例 4 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された請求者の金融機関の口座に関する情報が,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条2号に非公開事由として規定する法人等情報に該当しないとされた事例 5 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された請求者の印影が,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条3号に非公開事由として規定する公共秩序維持情報に該当しないとされた事例

裁判要旨

1 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された私人である出席者の氏名につき,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条1号に非公開事由として規定される「個人に関する情報」とは,個人が識別され得る情報のうち,専ら私生活上の事実に関するもので,性質上公開に親しまないような個人情報をいうものと解するのが相当であり,個人の行動であっても,それが公務としてされた場合はもちろん,公費による県職員との懇談会等公的会合との関係においてされた行動に関する情報は,特段の事情のない限り,これに該当すると認めることはできないとした上,空港整備事務所の折衝は,空港建設に関する公費による県職員との懇談会であって,公的会合であるというべきであるから,その出席者の氏名については,性質上公開に親しまないような個人情報に該当すると認めることはできず,また,前記特段の事情があるとはいえないとして,前記情報が,前記条例6条1号に非公開事由として規定する個人情報に該当しないとした事例 2 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された町職員である出席者の氏名につき,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条1号に非公開事由として規定される「個人に関する情報」とは,個人が識別され得る情報のうち,専ら私生活上の事実に関するもので,性質上公開に親しまないような個人情報をいうものと解するのが相当であり,個人の行動であっても,それが公務としてされた場合はもちろん,公費による県職員との懇談会等公的会合との関係においてされた行動に関する情報は,特段の事情のない限り,これに該当すると認めることはできないとした上,町職員は,空港整備事務所の求めにより,空港整備事務所が設定した会合に立ち会い,空港問題についての町の立場のもとに,県と地元住民との折衝に立会し,空港建設に賛成の町の方針について地元の了解を取り付け,地元と県の立場を調整する役割をしてきたのであり,公務として開催された会合に町の職員として出席したというべきであるから,町職員である出席者の職及び氏名については,公開に親しまないような個人情報に該当すると認めることはできず,また,氏名の開示を不相当とする特段の事由があるということはできないとして,前記情報が,前記条例6条1号に非公開事由として規定する個人情報に該当しないとした事例 3 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された請求者の従業員の氏名及び印影につき,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条1号に非公開事由として規定される「個人に関する情報」とは,個人が識別され得る情報のうち,専ら私生活上の事実に関するもので,性質上公開に親しまないような個人情報をいうものと解するのが相当であり,個人の行動であっても,それが公務としてされた場合はもちろん,公費による県職員との懇談会等公的会合との関係においてされた行動に関する情報は,特段の事情のない限り,これに該当すると認めることはできないとした上,前記情報は,請求者が県に対して提出した請求書等に記載されたものであって,請求にかかる行為について請求者の担当者を明示するためのものであると認められるから,同行為は,専ら私生活上の事実に関する情報とはいえず,また,前記情報について非公開を相当とする特段の事情があるということはできないとして,前記情報が,前記条例6条1号に非公開事由として規定する個人情報に該当しないとした事例 4 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された請求者の金融機関の口座に関する情報につき,前記文書中,請求書には,請求者の金融機関の口座にかかる金融機関名,本支店名,口座種別及び口座番号が記載されているところ,請求書は,取引の相手方等に対して交付されるものであるから,これらの情報は,取引の相手方等を通じて広く外部に公開される可能性があるのに,請求者が,これらの情報が公開されないための手段を講じていないことに照らすと,これらの情報を公開することにより法人等又は当該事業を営む個人に明らかに不利益を与えるということはできないとして,前記情報が,前記条例6条2号に非公開事由として規定する法人等情報に該当しないとした事例 5 空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等に記録された請求者の印影につき,同印影は,これが公開されたとしても,そのことから直ちに,当該印章が偽造されて,行使され,その結果,犯罪の予防に支障が生じるおそれがあると認めることはできないとして,滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和62年滋賀県条例第37号)6条3号に非公開事由として規定する公共秩序維持情報に該当しないとした事例

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