裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成9(行ウ)3
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成12年3月21日
- 裁判所名
釧路地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 地場産業振興のために村が関与して設立した林産協同組合に対して村が貸付けを行ったことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき村長個人に対してされた損害賠償請求が,認容された事例 2 地場産業振興のために村が関与して設立した林産協同組合に対して村が貸付けを行ったことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき村助役(収入役職務兼掌)個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例 3 地場産業振興のために村が関与して設立した林産協同組合に対して村が行った貸付金を村長個人が村に対し任意に返納した行為が,公職選挙法199条の2の「寄附」に該当するとされた事例
- 裁判要旨
1 地場産業振興のために村が関与して設立した林産協同組合に対して村が貸付けを行ったことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき村長個人に対してされた損害賠償請求につき,前記貸付けは,予算費目上,貸付金として支出されたものであるが,債務者に対し一般よりも有利な貸付けが行われた場合には,当該貸付けは同法232条の2にいう「補助」にあたるものと解すべきであるとした上,前記貸付けは低利で,しかも十分な担保を徴することなく実行されたものであるから,有利な貸付というべきであって,前記の「補助」にあたるものと解するのが相当であるところ,前記貸付けは,単に前記協同組合の従業員の給与の支払いのためにされたものであり,それが前記協同組合の経営改善に役立ち,また地域経済に有意な波及効果を及ぼすものであったとはとうていいい難く,むしろ不毛な出費であったと評価せざるを得ないから,前記貸付けは,公益上の必要性を欠くものであって,違法であるとして,前記請求を認容した事例 2 地場産業振興のために村が関与して設立した林産協同組合に対して村が貸付けを行ったことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき村助役個人に対してされた損害賠償請求につき,前記助役は収入役の職務を兼掌していたところ,前記貸付けは公益上の必要性を欠き実体的には違法であったが,その支出につき財務会計法規上の義務に違反する手続上の違法はなかったことが認められ,そのような場合には,先行する原因行為である村長の行為に違法事由が存する場合であっても,同行為を前提としてされた助役の行為が当然に違法となるものではなく,前記村長の行為が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り,助役が村長の行為を前提として,これに伴う予算措置を執っても違法とはならないというべきであり,また,前記助役には,同人の立場を越えて,村長の権限を擅断したものといい得るような重要な役割を演じたなどの特段の事情は認められず,最終決定権者である村長の決定した公金支出行為について,これを制止し,あるいは推進しないように自制すべき法律上の義務を負う立場にあったものとすることもできないから,前記助役には前記貸付けについて義務違反はないとして,前記請求を棄却した事例 3 地場産業振興のために村が関与して設立した林産協同組合に対して村が行った貸付金を村長個人が村に対し任意に返納した行為は,第三者による前記協同組合の債務の弁済たる性格を有するものであるが,同弁済行為は,村を相手方とする無償の金銭の交付行為であって,公職選挙法199条の2によって禁止されている公職の候補者等の「寄附」に該当するとした事例
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