裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成11(行コ)34
- 事件名
国籍確認請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成9年(行ウ)第88号)
- 裁判年月日
平成12年1月28日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
朝鮮人である父と内地人である母の間に出生し,昭和25年9月に前記父により認知された子が,国に対してした日本国籍を有することの確認請求が,認容された事例
- 裁判要旨
朝鮮人である父と内地人である母の間に出生し,昭和25年9月に前記父により認知された子が,国に対してした日本国籍を有することの確認請求につき,昭和25年7月1日に新国籍法(昭和25年法律第147号)が施行され,子は,外国人である父のした認知によっても,日本国籍を失わないこととなったものであるところ,内地籍あるいは朝鮮籍という地域籍は,観念的には日本国籍を持つ者の本籍の帰属地域に係る問題であり,当時の法制下においては国籍とは直接的な関わりはなかったのであるが,その実質は国籍に準じる性格を持つものと考えて良いことからすると,新国籍法施行後にもなお,朝鮮人父の認知という一方的意思表示により,内地人母との間の子が朝鮮人父の朝鮮戸籍に入ると解することは,新国籍法の趣旨に沿わないものといわざるを得ず,内地,朝鮮,台湾等の異法地域に属する者の間で身分行為が合った場合の戸籍の連絡を定めた共通法(大正7年法律第39号)3条の解釈適用についても,国籍法の規定が前記のように改められたことを軽視することはできず,新国籍法が施行され,子が外国人父のした認知によっては日本国籍を失わないとされた後は,朝鮮人父に認知された日本人母の子は,同条2項の関係では,去家が許されない者に当たると解するのが相当であるから,朝鮮人父に認知された内地戸籍にいた子は,認知によっても,当然には父の朝鮮戸籍に入るべき者には該当しないこととなり,平和条約の発効によっても日本国籍を失わず,また,同年12月6日付け法務府民事局民事甲第3069号法務府民事局長通達が発出され,朝鮮に本籍を有する男が内地人女の出生した子を認知した場合は,子は内地の戸籍から除くとする従前の扱いを改め,認知によって子の戸籍の変動は生じないこととされ,同取扱は同通達発出の日から実施されたが,法律上特段の意味のない同通達実施の時をもって,結果的に日本国籍喪失の有無を決める基準時とすることはできないとして,前記請求を認容した事例
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