裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
行政事件
- 事件番号
平成9(行ウ)15
- 事件名
公文書非開示決定取消請求事件
- 裁判年月日
平成12年1月25日
- 裁判所名
福島地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 産業廃棄物処理施設設置事前協議書のうち,最終処分場に隣接する土地の所有者の同意書に記載された個人の住所,氏名,印影が,福島県情報公開条例(平成2年福島県条例第41号,平成6年福島県条例第71号により一部改正)6条2号本文に定める非公開事由に該当するとされた事例 2 産業廃棄物処理施設設置事前協議書のうち,事業者の対応報告書が,福島県情報公開条例(平成2年福島県条例第41号,平成6年福島県条例第71号により一部改正)6条3号本文に定める非公開事由に該当するとされた事例
- 裁判要旨
1 産業廃棄物処理施設設置事前協議書のうち,最終処分場に隣接する土地の所有者の同意書に記載された個人の住所,氏名,印影につき,前記同意書の内容は,前記所有者らが,事業者が廃棄物の処理及び清掃に関する法律を遵守すること等を条件に,前記処分場の建設に同意する旨の意思を表示したものであり,前記情報が開示されると,特定の個人が前記のような意思表示をしたことが明らかとなるのであるから,これらの情報は,福島県情報公開条例(平成2年福島県条例第41号,平成6年福島県条例第71号により一部改正)6条2号本文にいう「個人に関する情報であって,特定の個人が識別され」るものに該当する上,前記同意書は,安全確保,生活環境の保全に関わる情報が記載されているものとはいえず,前記所有者のうち誰が建設に同意したかという情報が開示されたからといって,県民の生命,身体,健康,生活等を保護し,公共の安全を確保するなどの公益に資するとは認めがたいから,前記情報は,同号ただし書ウに定める「開示することが公益上必要であると認められるもの」には該当しないとした事例 2 産業廃棄物処理施設設置事前協議書のうち,事業者の対応報告書につき,同報告書は,産業廃棄物処理施設の設置を計画する法人が,下流域の水利権者及び地区代表者等の同意書に代えて,協議や交渉の経緯及び結果を報告書として提出したものであり,それには,前記交渉の経緯,内容が具体的かつ詳細に記載され,当時やり取りされた文書自体も添付されており,また,水利組合及び地域住民や漁業協同組合に対して行われた前記施設の事業計画説明会の議事録も含まれているが,同説明会は限定された範囲の関係者のみを対象とした会合であり,議事録には個々の発言内容が逐一記録されているところ,出席者が議事録を公開されることを了承していたとの事情は窺えず,前記報告書を関係者の意思に反して公開した場合には,これまで交渉してきた関係者に不快,不信の念を抱かせ,前記法人が交渉の過程で積み重ねてきた関係者や関係団体との信頼協力関係が損なわれ,これまで得られてきた理解や協力が得られなくなり,前記法人の今後の事業運営上不利益を与えるおそれが大きいから,前記報告書は,法人に関する情報であって,開示することにより,当該法人の正当な利益を害する情報を含むとして,福島県情報公開条例(平成2年福島県条例第41号,平成6年福島県条例第71号により一部改正)6条3号本文に該当すると解するのが相当であるとした上,前記報告書は,同号ただし書きアに定める,人の生命,身体または健康を保護するために,あえて開示することが必要であると認められる情報とまではいうことができないとした事例
- 全文