裁判例結果詳細

事件番号

平成8(行ウ)11

事件名

公文書非公開決定取消請求事件

裁判年月日

平成11年7月28日

裁判所名

和歌山地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 市の道路整備等工事の実施や工事費用の支払等に際して作成された支出負担行為書兼支出命令書添付の人夫使役原簿,資金前渡金精算書添付の領収書及び人夫使役原簿の住所氏名欄及び領収印欄の情報が,和歌山市公文書公開条例(平成5年和歌山市条例第33号)6条1号に非開示事由として規定する個人情報に当たるとされた事例 2 市の道路整備等工事の実施や工事費用の支払等に際して作成された支出負担行為伺書及び同添付の工事設計書等に記載された労務単価,資材単価,設計総金額等の情報が,和歌山市公文書公開条例(平成5年和歌山市条例第33号)6条4号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとされた事例 3 市の道路整備等工事の実施や工事費用の支払等に際して作成された支出負担行為伺書及び同添付の工事設計書等に記載された労務単価,資材単価等の情報が,和歌山市公文書公開条例(平成5年和歌山市条例第33号)6条5号に非開示事由として規定する国等協力関係情報に当たらないとされた事例

裁判要旨

1 市の道路整備等工事の実施や工事費用の支払等に際して作成された支出負担行為書兼支出命令書添付の人夫使役原簿,資金前渡金精算書添付の領収書及び人夫使役原簿の住所氏名欄及び領収印欄の情報につき,和歌山市公文書公開条例(平成5年和歌山市条例第33号)6条1号は,原則公開を旨とする情報公開制度の下でも個人のプライバシーを保護する必要はあり,個人に関する情報は,正当な理由がない限り,公にされてはならないという見地から設けられた規定であり,このような条例の趣旨にかんがみれば,個人に関する情報に該当するか否かは,当該情報の内容や性質,情報を開示される個人の属性等を総合考慮した上,実質的に判断すべきものと解されるとした上,前記情報の開示によって,作業員ごとの出役日数や賃金額等が具体的に明らかとなるところ,同情報は,特定個人の就労状況や収入という,個人が通常他人に知られたくない領域に属する事柄であり,個人のプライバシーとして保護されてしかるべき性質のものであるとして,同号に非開示事由として規定する個人情報に当たるとした事例 2 市の道路整備等工事の実施や工事費用の支払等に際して作成された支出負担行為伺書及び同添付の工事設計書等に記載された労務単価,資材単価,設計総金額等の情報につき,労務単価に関する情報は,実際に工事を受注した請負業者のみならず,市に所在する請負業者間において,広く流布されていたと考えられ,また,資材単価に関する情報も,同様に広く流布されていたと考えられ,さらに,設計総金額に関する情報については,その開示により,今後の前記工事の実施に支障が生ずることはあり得ないし,今後の公共工事の入札に際して,入札予定価格の推測がより容易になることも考え難いことなどからすれば,これらの情報を開示することにより,市の機関等が行う事務事業の目的が損なわれ又はその公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるとは認められないとして,前記各情報は,和歌山市公文書公開条例(平成5年和歌山市条例第33号)6条4号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとした事例 3 市の道路整備等工事の実施や工事費用の支払等に際して作成された支出負担行為伺書及び同添付の工事設計書等に記載された労務単価,資材単価等の情報につき,これらの単価に関する情報は,その公開を待たずとも,請負業者間において既に相当程度流布されていたのであって,その開示により,今後実施される公共工事の入札に関する事務事業の執行におそれがあるとは認められないことを考慮すると,前記各情報を開示したとしても,国ないし県との協力関係又は信頼関係が損なわれると認めることはできないというべきであるとして,前記各情報は,和歌山市公文書公開条例(平成5年和歌山市条例第33号)6条5号に非開示事由として規定する国等協力関係情報に当たらないとした事例

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