裁判例結果詳細

事件番号

平成10(行ウ)3

事件名

保険医療機関指定拒否処分取消請求事件

裁判年月日

平成11年6月14日

裁判所名

鹿児島地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 健康保険法(平成10年法律第109号による改正前)43条の3第2項による保険医療機関指定申請に対し県知事がした許否処分が,行政処分に当たるとされた事例 2 県知事が,医療法(平成12年法律第141号による改正前)30条の7に基づいてした開設中止の勧告を拒否して開設された病院のした健康保険法(平成10年法律第109号による改正前)43条の3第2項(現行法65条3項3号に相当)による保険医療機関の指定申請に対し,同病院は同項所定の「保険医療機関(中略)トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」に該当するとしてした許否処分が,適法とされた事例

裁判要旨

1 健康保険法(平成10年法律第109号による改正前)43条の3第2項による保険医療機関指定申請に対し県知事がした許否処分の行政処分性につき,病院等の開設者は,自らの申請に基づき保険医療機関としての指定を受けると,保険者との間に公法上の双務的付従的契約を成立させ,かつ,療養等の給付を行うことによって診療報酬債権を取得することのできる地位に立つことになるのであるから,病院等の開設者が保険医療機関の指定を拒否されると,前記契約上の地位をことごとく否定される結果となることが予想され,したがって,保険医療機関の指定を申請しようとする病院等の開設者の地位は,その指定があれば前記契約上の地位を獲得し得るものとして,健康保険法上,それだけで重大な法的利益を有するとみるのが相当であるなど,健康保険法の規定の趣旨からすると,同法は,指定申請をした病院等の開設者には,保険医療機関の指定を受ける法律上の権利ないし法的利益があるとしているものと解することができ,これらのことからすると,同項による指定拒否処分は,申請者の法律上の権利義務に直接影響を及ぼすことが明らかであり,その法的性質は,病院等の開設者の保険医療機関の指定を受ける権利ないし法的地位の侵害として,行政処分に当たると解すべきである。 2 県知事が,医療法(平成12年法律第141号による改正前)30条の7に基づいてした開設中止の勧告を拒否して開設された病院のした健康保険法(平成10年法律第109号による改正前)43条の3第2項(現行法65条3項3号に相当)による保険医療機関の指定申請に対し,同病院は同項所定の「保険医療機関(中略)トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」に該当するとしてした許否処分につき,県知事が,開設中止の勧告を行った病院を保険医療機関として指定すると,不必要又は過剰であると認められた病床によって本来必要とは言い難い過剰な入院医療費が発生するという事実認識に基づいて,前記病院を保険医療機関として著しく不適当と判断したことが不合理な判断であるとまではいえないから,前記拒否処分には裁量権の逸脱ないし濫用その他の違法な点があるとはいえないとして,同処分を適法とした事例

全文

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