裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成9(行ウ)20
- 事件名
公文書一部非公開決定処分取消等請求事件
- 裁判年月日
平成11年5月31日
- 裁判所名
大分地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 住民監査請求に基づき監査委員が実施した監査における意見陳述手続の際に請求人らが提出した参考資料等に記載された同人らの住所,氏名,職業及び勤務先並びに同手続における同人らの陳述を記録した文書に記載された同人らの一人が所属する市民団体の名称が,大分県情報公開条例(昭和63年大分県条例第31号,平成9年大分県条例第36号による改正前)9条1号に非開示事由として規定する個人情報に該当するとした事例 2 住民監査請求の審理に関する公文書,資料等に含まれる情報の一部が,大分県情報公開条例(昭和63年大分県条例第31号)9条7号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当するとした事例 3 県代表監査委員がした公文書非公開処分は,同一の性質の公文書に係る他の公文書公開請求に対する処分と比較して公開範囲が著しく限定されており,当該非公開処分に係る公文書公開請求をした者を差別したものであって違法であるなどしてされた国家賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 住民監査請求に基づき監査委員が実施した監査における意見陳述手続の際に請求人らが提出した参考資料等に記載された同人らの住所,氏名,職業及び勤務先並びに同手続における同人らの陳述を記録した文書に記載された同人らの一人が所属する市民団体の名称につき,大分県情報公開条例(昭和63年大分県条例第31号,平成9年大分県条例第36号による改正前)9条1号にいう「特定の個人が識別され(中略)るもの」とは特定の個人が当該公文書から直接識別できる住所,氏名等の情報をいい,同「特定の個人が(中略)識別され得るもの」とは当該情報からは直接特定の個人が識別されなくとも,他の情報と組み合わせることにより特定の個人が識別され得る情報をいうところ,前記住所及び氏名は前記「特定の個人が識別され(中略)るもの」に該当し,また,前記職業,勤務先及び市民団体の名称は,新聞等による報道や監査結果で公表された当該請求人の氏名など一般人が知り,又は通常入手し得る他の情報と組み合わせることにより,同請求人個人を特定することが可能になるから,前記「特定の個人が(中略)識別され得るもの」に該当するなどとして,前記住所,氏名,職業及び勤務先並びに市民団体の名称は,同号に非開示事由として規定する個人情報に該当するとした事例 2 住民監査請求の審理に関する公文書,資料等につき,これらの文書に含まれる情報の中には,その公開により,県民の住民監査請求の権能の行使に対して萎縮的効果をもたらす事態が予想されるもの,監査請求に係る財務会計行為の相手方等に不快,不信の念を抱かせ,監査事務の執行に際し,前記相手方等が非協力的又は消極的姿勢をとるなどの弊害が予想されるもの,監査委員の審査,自由な意見交換等に支障を生ずることが予想されるもの,監査委員の裁量権の行使が事実上制約される事態を生ずることが予想されるもの等があるから,このような情報を公開した場合には将来の監査事務の執行に著しい支障を生ずるおそれがあるといえるとして,前記公文書,資料等に含まれる情報の一部は大分県情報公開条例(昭和63年大分県条例第31号)9条7号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当するとした事例 3 県代表監査委員がした公文書非公開処分は,同一の性質の公文書に係る他の公文書公開請求に対する処分と比較して公開範囲が著しく限定されており,当該非公開処分に係る公文書公開請求をした者を差別したものであって違法であるなどとしてされた国家賠償請求につき,同県監査事務局は,過去に同事務局が関与した他の公文書公開請求や他の地方公共団体の情報公開条例の解釈が争われた裁判例等を調査するとともに,同県の情報公開担当部署との意見及び同県の情報公開に関する条例の解釈運用基準等を参考にして,当該公開請求に係る公文書に記録された情報が前記条例に定める非開示事由に該当するとの結論を出し,前記代表監査委員はこれに基づいて当該非公開処分をしたものであって,同処分に係る公文書公開請求をした者を差別したとはいえず,前記代表監査委員の行為に国家賠償法上の違法性があったとはいえないとして,前記国家賠償請求を棄却した事例
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