裁判例結果詳細

事件番号

平成7(行ウ)5

事件名

換地処分無効確認請求事件

裁判年月日

平成11年4月16日

裁判所名

鹿児島地方裁判所

分野

行政

判示事項

知事がした土地改良法89条の2第9項に基づく換地処分には,いわゆる余裕地の設定,その処分,清算事務を受託した土地改良区がいわゆる別途清算を行ったこと,複数の従前地と複数の換地とが1筆ごとに照応していないこと,換地処分通知書の送付遅滞等の重大かつ明白な瑕疵があるなどとしてされた同処分の無効確認請求が,棄却された事例

裁判要旨

知事がした土地改良法89条の2第9項に基づく換地処分には,いわゆる余裕地の設定,その処分,清算事務を受託した土地改良区がいわゆる別途清算を行ったこと,複数の従前地と複数の換地とが1筆ごとに照応していないこと,換地処分通知書の送付遅滞等の重大かつ明白な瑕疵があるとしてされた同処分の無効確認請求につき,いわゆる余裕地の設定は,換地選定の過不足を調整し,換地の円滑化を図る目的を超えて,事業の費用捻出等の目的でこれを行うことは認められないところ,前記換地処分においては,当初から売却代金を工事費に充当することを予定して余裕地が設定され,それを前記土地改良区が取得して地権者に売却したのであるから,換地計画,ひいては前記処分は違法であり,また,前記土地改良区がいわゆる別途清算として換地計画で定められた清算とは異なる清算を行ったことは,土地改良法に違反する上,同土地改良区は,清算事務を受託した前後の換地計画の段階において既に別途清算の実施を決定していたものであって,これを換地計画に定めなかったのであるから,換地計画に違法があり,ひいては前記換地処分も違法であるというべきであるが,前記余裕地の設定及びその処分は,地権者の同意の下での換地の配分調整とみることもでき,最終的には公正な方法で地権者に売却されていることからも同法の趣旨に反するとはいえず,前記別途清算も前記換地を前提として地権者間の実質的公平を図る趣旨で地権者の同意の下に行われたといえるから,これらに関する違法は前記換地処分を無効とするまでの重大な瑕疵とはいえず,また,当該換地に係る従前地全筆に設定されていた同一根抵当権者の共同根抵当権は換地全筆に移記されており,従前地に対する換地が全体として照応している以上,前記根抵当権者の担保権は保護され,1筆ごとの照応が必要であるとはいえず,さらに,換地処分通知書は処分の公告前に地権者に到達していなければならないから,当該換地処分通知書が公告後に送付された点も前記換地処分の違法事由となり得るが,送付の遅延により重大な損害があったとはいえないから,手続の順序が前後したことによる換地処分の瑕疵は前記通知書の到達により治癒されたものであるなどとして,前記請求を棄却した事例

全文

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