裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行コ)114

事件名

公文書非公開決定処分取消請求控訴事件

裁判年月日

平成11年3月31日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 横浜市公文書の公開等に関する条例に基づく公文書の公開請求に対する一部非公開決定の取消しを求める訴えの係属中に,非公開部分の一部が当該訴訟において書証として提出されたとしても,同部分に係る決定の取消しを求める訴えの利益が消滅したとはいえないとした事例 2 市が日本下水道事業団に委託した請負工事に係る設計書及び伺書に記録された設計単価,労務単価,設計金額,いわゆる歩掛及び執行予定額が,横浜市公文書の公開等に関する条例9条6号に非公開事由として規定する事務事業情報に当たらないとされた事例

裁判要旨

1 横浜市公文書の公開等に関する条例に基づく公文書の公開請求に対する一部非公開決定の取消しを求める訴えの係属中に,実施機関が非公開部分の一部を当該訴訟において書証として提出した場合につき,前記条例は公開請求をした者が請求に係る公文書に記録された情報を知っているか否かを問わず,同条例の定める手続によって公文書の公開を求める権利を具体的に保障しているところ,前記実施機関は前記処分を取り消し,又は変更しておらず,非公開部分の一部を書証の形で開示したものにすぎないから,前記条例の定める手続によって適時に請求に係る公文書の公開を受けるという請求者の権利はいまだ回復されていないとして,書証として提出された部分に係る決定の取消しを求める訴えの利益が消滅したとはいえないとした事例 2 市が日本下水道事業団に委託した請負工事に係る設計書及び伺書に記録された設計単価,労務単価,設計金額,いわゆる歩掛及び執行予定額につき,設計金額,執行予定額は,予定価格と同一の性格を有するところ,予定価格が公表されない制度の下で談合組織のみが予定価格に関する情報を不正に入手し,談合組織が落札を独占し得る状態となっている場合には,予定価格を事後的に公表することこそが,その後の同種工事の契約締結事務の公正かつ円滑な執行に資するものといえるところ,前記市においては,前記各文書に係る非公開決定のされた当時,予定価格の事後公表に踏み切るべき客観的状況が生じていたのであるから,設計金額,執行予定額を公開することにより,その後の同種工事の契約締結事務の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生じさせるおそれがあったとはいえないほか,設計単価,労務単価,いわゆる歩掛についても,その公表により前記支障を生じさせるおそれがあったとはいえないとして,前記設計金額等の各情報は,いずれも,横浜市公文書の公開等に関する条例9条6号が非公開事由として規定する事務事業情報に当たらないとした事例」

全文

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