裁判例結果詳細

事件番号

平成7(行ウ)19

事件名

公文書非開示処分取消等請求事件

裁判年月日

平成11年3月8日

裁判所名

横浜地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 大学入試センター所長が発した「大学入学者選抜大学入試センター試験実施要項」中の受験者の個人別成績は,各大学に対してのみ提供することとし,その他に対しては提供しないものとする旨の通知が違法であるとしてした国家賠償請求が,棄却された事例 2 市立大学が国の機関である大学入試センターから取得した大学入試センター試験個人別成績一覧のうち開示請求者本人に係る部分に記録された情報が,横浜市公文書の公開等に関する条例(昭和62年横浜市条例第52号)9条1項4号に非開示事由として規定する国等協力関係情報に当たるとされた事例 3 市立大学が国の機関である大学入試センターから取得した大学入試センター試験個人別成績一覧のうち開示請求者本人に係る部分に記録された情報が,横浜市公文書の公開等に関する条例(昭和62年横浜市条例第52号)9条1項6号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たるとされた事例 4 市立大学の入学試験成績一覧表のうち開示請求者本人に係る部分及び解答用紙に記録された情報が,横浜市公文書の公開等に関する条例(昭和62年横浜市条例第52号)9条1項6号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとされた事例 5 市立大学の入学試験成績一覧表のうち開示請求者本人に係る部分及び解答用紙に記録された情報が,横浜市公文書の公開等に関する条例(昭和62年横浜市条例第52号)11条2項2号に個人情報の本人開示の除外事由として規定する「本人の評価,判定,診断,指導,選考等に関する情報であって,本人に開示しないことが正当と認められるもの」に当たるとされた事例

裁判要旨

1 大学入試センター所長が発した「大学入学者選抜大学入試センター試験実施要項」中の受験者の個人別成績は,各大学に対してのみ提供することとし,その他に対しては提供しないものとする旨の通知が違法であるとしてした国家賠償請求につき,前記通知において,センター試験の個人別成績を公表しないこととしたのは,これを開示することにより,受験業者等が,各大学の合格者の過去のデータを収集し,大学の入学難易度や合格圏を設定し,それに基づくランク付けを行い,大学が序列化するなどの問題が生ずるため,これを防ぐという趣旨に基づくものであり,それなりの合理性が認められるから,同通知に裁量違反の違法があるということはできないとして,前記請求を棄却した事例 2 市立大学が国の機関である大学入試センターから取得した大学入試センター試験個人別成績一覧のうち開示請求者本人に係る部分に記録された情報につき,大学入試センター所長は,センター試験の受験生の個人別成績の提供を受けた大学はこれを他に公表しないよう求めているのであるから,同情報を開示することによって,大学入試センターとの信頼関係ないしは協力関係は損なわれ,以後センター試験の実施等に伴う事務について,大学入試センターからの協力が得られなくなるような事態が生ずることは明らかであるとして,前記情報は,横浜市公文書の公開等に関する条例(昭和62年横浜市条例第52号)9条1項4号に非開示事由として規定する国等協力関係情報に当たるとした事例 3 市立大学が国の機関である大学入試センターから取得した大学入試センター試験個人別成績一覧のうち開示請求者本人に係る部分に記録された情報につき,同情報を開示することにより,センター試験の結果を公開しない自治体との取扱いの違いが受験生に混乱を引き起こすなど,センター試験を利用する大学における入試業務を困難なものにし,将来の入学者選抜の事務に著しい支障をもたらすことすらも予想できないではないとして,前記情報は,横浜市公文書の公開等に関する条例(昭和62年横浜市条例第52号)9条1項6号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たるとした事例 4 市立大学の入学試験成績一覧表のうち開示請求者本人に係る部分及び解答用紙に記録された情報につき,同情報を開示すると,相当多数の学生が開示を希望し,それを知り合うことになると予想されるところ,そうなると,同大学の教育方針に対する重大な支障となる蓋然性があるが,教育事務の支障は入学試験実施事務自体の支障ではないとし,また,前記情報を開示することによって,それだけが合否判定基準であると誤解され,また,採点者へ精神的な圧迫を与えるといった懸念は,工夫次第で回避することができるとして,前記情報は,横浜市公文書の公開等に関する条例9条1項6号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとした事例 5 市立大学の入学試験成績一覧表のうち開示請求者本人に係る部分及び解答用紙に記録された情報につき,同情報を開示すると,学生に入学時の成績にこだわらずすべて平等にスタートラインに立たせた上で,主体的な関心に基づいた学習を進めるという教育理念・方針に変更を迫るような影響が生じるということができるところ,その教育理念・方針は大学にとって極めて重要であり,その維持実現は,正当な目的があると評価されるので,前記情報は,横浜市公文書の公開等に関する条例(昭和62年横浜市条例第52号)11条2項2号に個人情報の本人開示の除外事由として規定する「本人の評価,判定,診断,指導,選考等に関する情報であって,本人に開示しないことが正当と認められるもの」に当たるとした事例

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