裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行ウ)16

事件名

公文書非公開決定処分取消事件

裁判年月日

平成11年3月3日

裁判所名

千葉地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 県監査委員事務局のタクシー等の利用代金の支出負担行為支出伝票及びその添付書類である請求書に記録された情報のうち利用目的である用務及び利用者が,千葉県公文書公開条例11条2号に非開示事由として規定する個人情報に該当しないとされた事例 2 県監査委員事務局のタクシー等の利用代金の支出負担行為支出伝票及びその添付書類である請求書に記録された情報のうち,タクシー会社の所在地及び名称等,同会社の使用する金融機関名及び口座番号等,同会社又はその代表者の印影並びに相手方コードが,千葉県公文書公開条例11条3号に非開示事由として規定する法人等情報に該当しないとされた事例

裁判要旨

1 県監査委員事務局のタクシー等の利用代金の支出負担行為支出伝票及びその添付書類である請求書に記録された情報のうち利用目的である用務及び利用者につき,千葉県公文書公開条例11条2号は,広くプライバシーを保護するため,「県職員の個人情報」を含むものとして「個人に関する情報」の要件を規定したものであるが,県職員の職務遂行情報については,これを明確に非公開情報に含めるものとして規定することはせず,その取扱いを解釈に委ねたものということができるところ,公務員の氏名は,同時にその私生活においても個人を識別する基本的な情報として一般に用いられており,これを開示すると公務員の私生活への影響も考えられるから,これを個人に関する情報として同号により保護することには一定の合理性は認められるが,公務員が職務遂行過程において行う行為自体は,すべてその公務員たる地位に基づいてされるものであって,その私生活とは本来関わりがないものであり,職務遂行情報としての公務の内容及びこれに携わった公務員の役職名等も,いかなる用務のためにいかなる立場にあるものが関与したかを示す情報にすぎず,これが公開されたとしても,これによって公務員個人のプライバシーが害されることはないのが通常であると考えられるから,県職員の職務遂行情報を非公開情報に含めることを一義的に明らかにしていない同号の解釈として,そのような情報が個人情報性を有するものとするのは相当ではないとした上,前記情報のうち用務の部分は,監査,検査,会議等といった公務又は公用の名称であるが,これは業務,行事の名称にすぎず,また,利用者の部分は,いずれも公務員である当該タクシーを利用した者の所属団体名,肩書や役職名であり,いずれも個人情報性を有するものではないとして,前記情報は同号に非開示事由として規定する個人情報に該当しないとした事例 2 県監査委員事務局のタクシー等の利用代金の支出負担行為支出伝票及びその添付書類である請求書に記録された情報のうち,タクシー会社の所在地及び名称等,同会社の使用する金融機関名及び口座番号等,同会社又はその代表者の印影並びに相手方コードにつき,タクシー会社の所在地及び名称等については,県職員が利用するタクシー会社であるとの一事をもって,当該会社所属のタクシーが一般の利用者を巻き添えにする形でテロ行為の標的になることの危険性は具体的なものとはいい難い上,一般人に対し,テロ行為の巻き添えになる事態を危惧させ,当該タクシー会社の利用を回避する必要を感じさせるに足りるものとは認められず,また,同会社の使用する金融機関名や口座番号,印影等は,経理を行う上での内部管理に属する情報に該当するということができるところ,同会社がこのような各情報を外部の第三者に交付する請求書に記載等している以上,当該情報が悪用される危険性は,公文書公開請求により公開されるか否かに関わらず,当初から存在しているものである上,前記のような会社は,当然,請求書の当該情報が悪用される危険をもともと認識しているべきものであって,その悪用がされるリスクを管理,処理し,その対策を講じているはずのものであるから,前記各情報を公開することによって,前記会社の競争上等の地位に不利益が生じるとはいえないとして,前記各情報が,千葉県公文書公開条例11条3号に非開示事由として規定する法人等情報に該当しないとした事例

全文

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