裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行ウ)2

事件名

文書開示拒否処分取消請求事件

裁判年月日

平成11年2月9日

裁判所名

鳥取地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 県の知事部局の食糧費支出関係資料に記録された会議等の出席者の所属団体名,職名及び氏名が,鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)9条2号に非開示事由として規定する個人情報に当たらないとされた事例 2 県の知事部局の食糧費支出関係資料に記録された会議等の出席者の所属団体名,職名及び氏名が,鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)9条7号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとされた事例 3 県の知事部局の食糧費支出関係資料に記録された懇談会等の会場となった飲食店等の取引金融機関名,口座番号及び印影が,鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)9条3号に非開示事由として規定する法人等情報に当たらないとされた事例 4 知事が開示請求に係る文書の不存在を理由としてした開示請求書の返戻行為が,非開示処分であるとされた事例 5 知事に対して開示請求がされた鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)2条1項において実施機関とされていない県議会の事務局が作成し,管理する旅費及び食糧費の支出関係資料が,同条2項に開示対象として規定する「公文書」に当たるとされた事例

裁判要旨

1 県の知事部局の食糧費支出関係資料に記録された会議等の出席者の所属団体名,職名及び氏名につき,同会議等は県の公費を用いて公務として行われているものであって,これに出席することは県の公務そのものに関与するという側面を有し,当該出席者もこのことを当然認識していたはずである上,出席したことを公表されたくないということは通常あり得ないことなどの事情からすれば,前記出席者の所属団体名等の各情報は,個人に関する私的な情報とはいえないというべきであり,また,これらの情報が開示されることによって出席者のプライバシーが侵害されるような例外的事情があるともいえないとして,前記各情報は,鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)9条2号に非開示事由として規定する個人情報に当たらないとした事例 2 県の知事部局の食糧費支出関係資料に記録された会議等の出席者の所属団体名,職名及び氏名につき,当該会議等が事業の執行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであって,その出席者等が明らかとなると,出席者において,不快,不信の念を抱くなどにより,後の会議等への参加を拒否することなどの結果として,当該又は同種の事務の公正かつ適正な執行に著しい支障及ぼすおそれがあるとの事情は認められないとして,前記出席者の所属団体名等の各情報は,鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)9条7号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとした事例 3 県の知事部局の食糧費支出関係資料に記録された懇談会等の会場となった飲食店等の取引金融機関名,口座番号及び印影につき,これらの情報は,法人又は事業を営む個人が自らの事業活動において継続的又は反復的に使用することが予定されているものであって,その事業規模や事業形態によっては,相当広範囲な取引関係者が知り得る性質のものであるから,開示することにより,法人等の正当な利益を害するとはいえないとして,鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)9条3号に非開示事由として規定する法人等情報に当たらないとした事例 4 知事が開示請求に係る文書の不存在を理由としてした開示請求書の返戻行為につき,同返戻行為によって,開示請求者は請求に係る文書の開示を受ける法律上の地位を一方的に否定され,また,当該県の条例は,開示請求を受けた実施機関が請求書を受理しないことについての規定を欠くことからすると,前記返戻行為は,公文書の不存在を理由とする非開示処分であるとした事例 5 知事に対して開示請求がされた鳥取県公文書公開条例(昭和63年鳥取県条例第2号)2条1項において実施機関とされていない県議会の事務局が作成し,管理する旅費及び食糧費の支出関係資料につき,同条2項に開示対象として規定する「公文書」というためには,実施機関が,当該文書を法的な権限に基づいて現実に作成又は取得し,管理していることを要するところ,予算執行に関する文書は,その作成又は取得,管理の権限が法的には知事に属しているというべきであり,また,前記事務局職員が前記資料を作成し,管理しているのは,いずれも予算執行事務の補助執行として,知事部局の予算執行に関する職員の身分に基づいて行っているものであるとして,前記資料は前記「公文書」に当たるとした事例

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