裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成10(行ウ)4
- 事件名
食糧費情報公開請求事件
- 裁判年月日
平成11年1月29日
- 裁判所名
鹿児島地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票及び請求書に記載された債権者の住所,氏名等の情報が,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号)8条3号に非開示事由として規定する法人等情報に当たらないとされた事例 2 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票,請求書に記載された債権者の取引金融機関,口座番号等の情報が,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号)8条3号に非開示事由として規定する法人等情報に当たるとされた事例 3 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票及び請求書に記載された懇談会等の出席者が識別され得る情報が,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県情報公開条例第4号)8条2号に非開示事由として規定する個人情報に当たらないとされた事例 4 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票及び請求書に記載された懇談会等の出席者が識別され得る情報が,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号)8条8号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとされた事例
- 裁判要旨
1 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票及び請求書に記載された債権者の住所,氏名等の情報につき,同情報は,当該飲食店を利用する顧客をはじめとする公衆に広く開示されている情報にすぎず,それ以上に同飲食店を経営する事業者の営業上の秘密,ノウハウ等の情報や経営方針等内部管理に属する情報など,同業者との対抗関係上特に秘匿を要するような事業活動情報が記録されているとはいえないなどとして,前記情報は,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号)8条3号に非開示事由として規定する法人等情報に当たらないとした事例 2 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票,請求書に記載された債権者の取引金融機関,口座番号等の情報につき,本来,前記情報は,法人や個人がその事業活動を営む上で必要な金銭の出納又は事業資金の管理等に関する重要な内部情報であり,相手方によっては,秘密に属すべき事項であって,その公開,非公開は,もっぱら当該法人や事業を営む個人の自由な選択に任されるべきものと解され,同情報を当該業者の同意もなく,一般に公開することは,まさに事業を行うものの正当な利益を侵害することが相当程度の蓋然性をもって考えられるというべきであるとして,同情報は,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号)8条3号に非開示事由として規定する法人等情報に当たるとした事例 3 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票及び請求書に記載された懇談会等の出席者が識別され得る情報につき,前記事務局職員の役職名や氏名に関する情報については,それがその職務の遂行に関する情報を構成している場合においては,当該職務を遂行した者を特定し,責任の所在を明示するために表示されるものとみるべきであり,地方自治法の定める住民監査等の制度趣旨に照らせば,同職員の財務会計上の行為又は怠る事実と不可分一体の情報として,住民に対して公開される必要があるというべきであるなどとして,前記事務局職員以外の公務員の出席者が識別され得る情報については,前記事務局職員の職務の遂行過程で,当該職務の相手方等の関係者として前記事務局職員以外の公務員が関与している場合には,同公務員は,公務として関わっているのが原則であるから,前記情報は,同公務員個人の社会活動に関する情報ではあるが,公務に関する情報でもあり,前記住民監査等の民主主義的制度を通じて,それが公表されることもあり得ることを当然予想しているものというべきであるなどとして,また,民間人の出席者が識別される情報については,当該文書の記載から一般民間人の識別ができる場合,当該民間人は,前記事務局の行政事務,事業の執行上行われる懇談会等に関与する以上,事務局職員の公務遂行過程に関与していることを当然認識していたはずであり,前記食糧費の性格をあわせ考えると,交際費の支出の場合とは異なり,食糧費の執行としての宴会等を伴う懇談会等への出席は,前記監査委員事務局の行政事務,事業そのものへの関与にほかならないというべきであるなどとして,前記情報が,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号)8条2号に非開示事由として規定する個人情報に当たらないとした事例 4 県監査委員事務局の食糧費支出に係る支出負担行為・支出命令票及び請求書に記載された懇談会等の出席者が識別され得る情報につき,食糧費は,交際費と異なり,行政事務,事業の執行上直接的に費消されるものであることにかんがみれば,宴会等を伴う懇談等は監査委員事務局の事務事業そのものであって,出席者にとって,当然に非公式,非公開とされる必要のあるものとは認められず,懇談等の出席者が識別され得る情報が開示されることにより,「行政運営に支障が生ずるおそれがある」と判断するためには,懇談等の目的とする事務事業の性質・内容,懇談等の開催目的や出席者の属性などに照らし,非公開とする合理的必要性がある場合であること,懇談等の相手方等出席者も当然に非公開であると理解してこれに出席していたこと,相手方等の事前の同意なしに所属・氏名等を開示すると,相手方が不信,不快の念を抱き,関係当事者との信頼関係又は協力関係が損なわれ,以後の懇談等の出席を拒否されたり,率直な意見交換が控えられるようになることなどの特段の事情が存することを要するというべきところ,この特段の事情についての具体的な主張,立証はないとして,前記情報は,鹿児島県情報公開条例(昭和63年鹿児島県条例第4号)8条8号に非開示事由として規定する事務事業情報に当たらないとした事例
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