裁判例結果詳細

事件番号

平成7(行ウ)21

事件名

公文書非公開処分取消請求事件

裁判年月日

平成10年12月25日

裁判所名

横浜地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る「都市計画審議会資料」及び「地元土地利用計画対応関係資料」,「基本計画書」の非公開決定の取消しを求める訴えが,同決定後,前記各文書の写しを受領したことにより訴えの利益が失われたとして,却下された事例 2 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る「換地検討調査報告書」の非公開決定の取消請求が,意思形成過程情報に該当するとして,棄却された事例 3 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る「新横浜元石川線基本設計(検討案)」の非公開決定の取消請求が,意思形成過程情報に該当するとして,棄却された事例 4 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る都市計画案に関する「方針伺い」の非公開決定の取消請求が,事務事業情報に該当するなどとして,棄却された事例

裁判要旨

1 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る「都市計画審議会資料」及び「地元土地利用計画対応関係資料」,「基本計画書」の非公開決定の取消しを求める訴えにつき,同審議会資料及び同対応関係資料については再度行った公開請求でその写しの交付を受けており,同計画書については書証として提出された写しを受領しているため,事情変更により事後的に前記非公開決定が取り消されたに等しく,特段の事情が認められない限り訴えの利益が失われると解すべきであるとした上,訴えの利益を認める特段の事情も認められないとして,前記訴えを却下した事例 2 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る「換地検討調査報告書」の非公開決定取消請求につき,同報告書は都市計画案の見直しのための基礎資料として,土地区画整理事業の施行地区の換地の概略を示し,施行地区内の土地の評価指数,増進率等を試算したものであり,同条例に掲げる市の機関内部における審議,検討,調査研究等に関する情報に当たるところ,同報告書の内容を知った地権者が同文書記載の内容が事実上決まっているとの誤解のもとに意見を述べるなどして,事業施行者が換地の方法,路線価評価の具体的内容等について自由な意見交換をしつつ,何にもとらわれずに審議,検討をすることに支障を生じさせるおそれがあるものといえるから,前記条例が定める非開示事由に当たるとして,前記請求を棄却した事例 3 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る「新横浜元石川線基本設計(検討案)」の非公開決定の取消請求につき,同検討案は道路の設計等について,市内部及び市と鉄道事業者等の関係機関の協議,検討の資料として作成されたものであり,同条例に掲げる市の機関内部又は市の機関と国等の機関との間における審議,検討,調査研究等に関する情報を記録したものにあたるところ,同検討案を公開した場合,道路設計の具体的内容について十分な協議,検討を経ていない未成熟なものであるのにそれが事実上固まっているとの誤解のもと,案に強く反対する者が出てくるなどの可能性があり,その結果,施行者による以後の関係機関との協議が進捗せず,事業完成に長期間を要することになり得るものと認められるから,審議,検討に支障が生じると認められ,前記条例が定める非開示事由に当たるとして,前記請求を棄却した事例 4 市公文書公開条例に基づく公開請求に係る都市計画案に関する「方針伺い」の非公開決定の取消請求につき,同伺いのうち本文については,同条例が掲げる市が行うその他の事務事業情報に関する情報にあたるところ,本文「1経過及び趣旨」の説明文中,都市区画整理事業に反対又は賛成した地権者団体の名称についてはは,その意見は公開されることが予定されておらず,意見の内容も流動化の余地があったのであるから,団体名を一般に公開することは,市と団体との信頼関係を損ない事務事業の施行に著しい支障を生じるおそれがあることとなるとし,また,別紙案中非公開とされた部分については,前記条例が掲げる市の機関内部における審議,検討に関する情報,市が行うその他の事務事業に関する情報に当たるところ,これらの情報を公開すると,一連の手続からなる前記事業における審議,検討に支障が生じるおそれがあり,また,国等の関係機関や地権者団体との協議が未了の段階での公開により,これらの機関等との信頼関係が損なわれるものと認められ,いずれも前記条例が定める非開示事由にあたるとして,前記請求を棄却した事例

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