裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成9(行ウ)30
- 事件名
公文書一部非公開決定処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成10年11月18日
- 裁判所名
京都地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市長選挙に当選して就任した市長が市の費用で送付した就任あいさつ状の送付先名簿に記録された個人の住所が,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1号に非開示事由として規定する個人識別情報に該当するとされた事例 2 市長選挙に当選して就任した市長が市の費用で送付した就任あいさつ状の送付先名簿に記録された個人の氏名,役職名及び備考欄の記載が,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1号に非開示事由として規定する個人識別情報に該当しないとされた事例 3 市長選挙に当選して就任した市長が市の費用で送付した就任あいさつ状の送付先名簿に記録された個人の氏名,住所,役職名及び備考欄の記載が,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条7号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとされた事例
- 裁判要旨
1 市長選挙に当選して就任した市長が市の費用で送付した就任あいさつ状の送付先名簿に記録された個人の住所につき,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1号にいう個人に関する情報で,個人が識別され又は識別され得るものに当たり,かつ,個人の住所は,人がその生活の本拠として日常を営むところであり,その所在が公開されると生活の平穏が害されるおそれがあると考えられるから,これを公開すべきであるとの考えはいまだ社会的に醸成されていないというべきであって,社会通念上,保護の必要があると認められるとして,前記情報は,同号に非開示事由として規定する個人識別情報に該当するとした事例 2 市長選挙に当選して就任した市長が市の費用で送付した就任あいさつ状の送付先名簿に記録された個人の氏名,役職名及び備考欄の記載につき,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1号の規定は,個人のプライバシーを保護するため公開の例外を設けたものであるところ,前記あいさつ状にはプライバシーを侵害するような性質の内容は含まれておらず,また,いずれも同一の内容と考えられ送付を受けた者により内容が異なるとは認め難いことにかんがみると,個人を識別できる情報を公開することによりプライバシーを侵害するとは考えられず,さらに,当該あいさつ状を受けたことがその者の評価を低下させるとは認められないから,公開しないことに正当な理由はないとして,前記氏名等は,同号に非開示事由として規定する個人識別情報に該当しないとした事例 3 市長選挙に当選して就任した市長が市の費用で送付した就任あいさつ状の送付先名簿に記録された個人の氏名,住所,役職名及び備考欄の記載につき,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条7号の規定は,公開することにより行政作用の運営に支障を生じさせる情報について公開しないとしたものであるところ,前記あいさつ状の送付先には市が行う事務事業の関係者に関する情報が含まれていると推認することができるから,市が行う事務事業に関する情報ということができるが,市長からのあいさつ状の送付を受けなかった関係者の中に,不快,不満の念を抱く者がいたとしても,それは送付を受けなかった関係者の内心の感情の問題にとどまり,関係者がそのような主観的感情を抱いたからといって市の事務事業が左右されることは考え難いから,このことにより事務事業が渋滞する事態を想定することは困難であり,著しく事務事業の目的が損なわれたり,その執行に支障が生ずるとは認め難いとして,前記情報は,同号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとした事例
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