裁判例結果詳細

事件番号

平成8(行ウ)8

事件名

公文書一部非開示決定処分取消請求事件

裁判年月日

平成10年11月13日

裁判所名

宮崎地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された文書中に記載された,同会社の取締役,監査役及びそれらの候補者の氏名,担当業務,所有する株式,同会社との利害関係に関する部分が宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条2号ただし書イに定める,個人識別情報であっても開示しなければならない情報に該当するとされた事例 2 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された文書中に記載された,同会社の取締役,監査役及びそれらの候補者の住所,同会社外における職業に関する部分が宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条2号ただし書イに定める,個人識別情報であっても開示しなければならない情報に該当しないとされた事例 3 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された同会社の営業報告書中の「売上の状況」の部分に記載された情報が,宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条3号に定める非開示事由に該当しないとされた事例 4 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された同会社の営業報告書中の「資金調達の状況」,「株式の状況」,「主要な借入先」,「企業結合の状況」の各部分に記載された各情報が,宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条3号に定める非開示事由に該当しないとされた事例 5 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された同会社の貸借対照表及び損益計算書等に記載された各情報が,宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条3号に定める非開示事由に該当しないとされた事例

裁判要旨

1 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された文書中に記載された,同会社の取締役,監査役及びそれらの候補者の氏名,担当業務,所有する株式,同会社との利害関係に関する部分につき,宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条2号本文が非開示事由として定める個人識別情報に該当するが,同会社は,県や市と密接な関係を保持する公共性の高い事業を目的としており,前記各情報は,公務員の氏名及び職に関する情報に準ずるものとして,社会通念上公表することが予定されているものに当たり,公表してもプライバシーを侵害するおそれはないと認められるので,同号ただし書イが,個人識別情報であっても開示しなければならない情報として定める「公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報であって,当該情報の開示が個人の権利利益を侵害しないと認められるもの」に該当するとした事例 2 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された文書中に記載された,同会社の取締役,監査役及びそれらの候補者の住所,同会社外における職業に関する部分につき,宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条2号本文が非開示事由として定める個人識別情報に該当するところ,前記各情報は,これらが開示されることにより当該取締役等の私生活等に影響を及ぼすことは明らかであるので,同号ただし書イが個人識別情報であっても開示しなければならない情報として定める「公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報であって,当該情報の開示が個人の権利利益を侵害しないと認められるもの」に該当しないとした事例 3 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された同会社の営業報告書中の「売上の状況」の部分に記載された情報につき,同情報は前記会社の各事業所ごとの売上金額,その全施設における構成比率及び前年度の売上金額との比率であるところ,前記情報は,販売営業上の秘密やノウハウ等同業者との対抗上特に秘匿を要するものではなく,また,前記情報について,株主に加え従業員を含め相当多数の債権者がすでに知っているか,又は容易に知り得る情報であることが認められ,さらに同会社と県等との密接な関係及びその事業活動の公益性を併せ考慮すると,前記情報の開示によって,同会社の競争上ないし事業運営上の利益が具体的に侵害されることが客観的に認められるということはできないとして,前記情報は,宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条3号本文に定める非開示事由(法人等情報)に該当しないとした事例 4 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された同会社の営業報告書中の「資金調達の状況」,「株式の状況」,「主要な借入先」,「企業結合の状況」の各部分に記載された各情報につき,これらの情報は事業運営上の秘密やノウハウ等特に秘匿を要する情報には当たらないほか,同会社の株主や債権者が既に知り,又は知り得べき情報であるところ,これを開示することにより,前記会社の事業運営上の不利益が具体的に発生すること,又は相手方に事業運営上の不利益を与えることが客観的に認められるということはできず,それゆえ相手方との信頼関係を損ねるということも認められないとして,前記情報はいずれも宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条3号本文に定める非開示事由(法人等情報)に該当しないとした事例 5 県が資本金の一部を出資する株式会社の株主総会において同県に配布された同会社の貸借対照表及び損益計算書等に記載された各情報につき,これらの情報は,前記会社の事業運営上の秘密やノウハウ等特に秘匿を要する情報には当たらないし,前記各情報から直ちに同会社の経理内容の詳細を把握し,その経営を分析することは必ずしも容易とはいえず,また,前記情報は,既に株主が知り,相当多数の債権者が容易に知り得る情報であり,さらに,同会社と県等との密接な関係及びその事業活動の公共性を併せ考慮すると,これらの情報の開示によって,同会社の競争上ないし事業運営上の利益が具体的に侵害されることが客観的に認められるということはできないとして,前記各情報は,宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第3号)9条3号本文に定める非開示事由(法人等情報)に該当しないとした事例

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