裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成10(行コ)5
- 事件名
公文書公開決定取消請求控訴事件
- 裁判年月日
平成10年11月11日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 県文書学事課のコピー機の契約に関する文書に記載された契約者である会社の料金に関する情報が,奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号)10条3号に非開示事由として規定する法人等情報に該当しないとされた事例 2 県文書学事課のコピー機の契約に関する文書中の契約者である会社の営業所長の印影が,奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号)10条4号に非開示事由として規定する公共の安全等に関する情報に該当しないとされた事例 3 県文書学事課のコピー機の契約に関する文書中の契約者である会社の営業所長の印影が,奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号)10条3号に非開示事由として規定する法人等情報に該当しないとされた事例
- 裁判要旨
1 県文書学事課のコピー機の契約に関する文書に記載された契約者である会社の料金に関する情報につき,地方公共団体と契約を締結する法人等は,行政の透明性の要請等から,民間と契約する場合とは異なる制約を甘受せざるを得ないものであって,このような法人等において,契約内容の開示により当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が損なわれるとするためには,当該開示により原価,価格ロジック,価格体系等の営業上の秘密やノウハウが明らかになるなどの事情が必要であるとした上,前記情報を開示しても,前記会社の特定の相手方に対する数台のコピー機の料金が明らかになるにすぎず,前記営業上の秘密やノウハウが明らかになるとは認められないとして,前記情報は,奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号)10条3号に非開示事由として規定する法人等情報に該当しないとした事例 2 県文書学事課のコピー機の契約に関する文書中の契約者である会社の営業所長の印影につき,同印影の開示と印章偽造等の犯罪行為との関連は直接的なものではなく,犯罪者が開示された印影等を用いて印章偽造を行うなどの異例な場合にのみ起こり得るにすぎないから,前記印影の開示と奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号)10条4号にいう「犯罪の予防(中略)その他公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれ」との間に因果関係を認めることは困難であるとして,前記印影は,同号に規定する非開示事由に該当しないとされた事例 3 県文書学事課のコピー機の契約に関する文書中の契約者である会社の営業所長の印影につき,奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号)10条3号は,その文言からすれば,当該法人等のいわゆる内部管理情報をその意思に反して公表すること自体が当該法人等の正当な利益を損なうとしているとまでは解されないから,前記印影が前記内部管理情報に該当することから直ちに同号に非開示事由として規定する法人等情報に該当するとはいえず,また,地方公共団体と法人等との間の契約書等に押なつされて地方公共団体に提出される法人等の印影には,作成名義人の氏名等とあいまって契約を締結した者を特定し,契約締結権限を証明するという意味のほか,特殊な情報が含まれているわけではないから,契約の相手方の氏名が既に開示されているような場合には,法人等の印影は付随的な情報にすぎず,これが開示されたからといって当該法人の正当な利益が損なわれるとはいえないところ,前記営業所長の印影は前記契約の契約書等に押なつされたものであって,同営業所長の氏名は既に開示されているから,同印影が開示されたからといって,前記会社の正当な利益が損なわれるとは認められないとして,同印影は,前記非開示事由としての法人等情報に該当しないとした事例
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