裁判例結果詳細

事件番号

平成6(行ウ)3

事件名

各損害賠償(住民訴訟)請求事件

裁判年月日

平成10年6月9日

裁判所名

山口地方裁判所

分野

行政

判示事項

市が,営業を一切しておらず,かつ,これを再開する可能性が全くなかった第三セクター方式の会社に対して補助金を交付したことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,元市長個人に対してされた損害賠償請求が,認容された事例

裁判要旨

市が,営業を一切しておらず,かつ,これを再開する可能性が全くなかった第三セクター方式の会社に対して補助金を交付したことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,元市長個人に対してされた損害賠償請求につき,補助金交付についての公益性の有無を判断するに当たっては,当該補助金の交付とそれによる当該地方公共団体の住民の利益との間における因果関係の有無が検討されるべきであるとした上,前記会社はその唯一の収入源である高速船の運航を既に休止しており,かつ,運行再開の見込みも全くなかったのであるから,これを再開することによる地域の活性化や市民の利便性という本来目指していた利益が存在しなくなっており,また,前記補助金を前記会社に交付したことにより直接的に利益を受けたのは同会社の債権者及び連帯保証人であるところ,これらの者が前記市の住民の福祉の増進に影響を与えたり,あるいはこれらの者に利益を与えることによって,同市住民の福祉が増進したという関係を有するものではない上,補助金を投入したとしても,前記会社が立ち直り,事業が再開される見込みはない状況に陥っていたにもかかわらず,前記市が前記補助金を交付したことは経済的な面も含めおよそ不毛な処置であったといわざるを得ず,同市の住民にとっては,前記補助金相当額の税金が住民の福祉の増進のために使用されないまま失われる結果がもたらされたも同然であるから,前記会社に対する補助金の交付については,前記因果関係の存在を肯定し得ないところであって,公益性の要件を満たしておらず違法であるなどとして,前記請求を認容した事例

全文

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