裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行コ)5

事件名

酒類販売業免許拒否処分取消請求控訴事件

裁判年月日

平成10年5月26日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 酒税法9条1項,10条11号と憲法22条1項 2 消費生活協同組合が酒税法9条1項に基づいてした酒類販売業の免許申請に対し,税務署長が同法10条11号に該当するとしてした拒否処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

1 酒税法9条1項が採用する酒類販売業の免許制度は,酒税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという重要な公共の利益のために採られた必要かつ合理的な措置であり,また,同法10条11号が規定する「需給の均衡を維持する必要」という要件は,酒類販売業者の経営が安定的に行われることを確保することによって酒税収入の確保を図ろうとしたものであって,合理性を有し,かつ,同規定が不明確で行政庁の恣意的判断を許すものともいえないから,いずれも租税法定立についての立法府の政策的,技術的な裁量の範囲内にあり,憲法22条1項に違反しない。 2 消費生活協同組合が酒税法9条1項に基づいてした酒類販売業の免許申請に対し,税務署長が同法10条11号に該当するとしてした拒否処分の取消請求につき,同号に規定する「酒類の需給均衡を維持する必要」を判断する具体的基準として酒類販売業免許等取扱要領(平成元年間酒3−295国税庁長官通達「酒類の販売業免許等の取扱いについて」の別冊)が採用する人口基準は,形式的基準の適用によって酒類の需給調整上の要件の認定をより客観的に行うために採用されたものであり,その内容は,小売販売地域ごとに,需要を示す客観的計数である人口数を把握し,それを合理的に算出された人口基準という計数で割って供給する酒類販売店の数を算出するものであって,客観性,合理性が認められ,また,このような人口基準を採用しておきながら,販売先を原則としてその構成員に限定している団体等に酒類販売業の免許を付与すると,一定の地域に居住する住民の中に当該団体等から酒類を購入できる者と購入できない者とが生ずることとなり,当該地域については一律の人口基準により需要の多寡を判断することが困難ないし不可能になるといわざるを得ないのであって,前記のような団体等には酒類販売業の免許を付与しないとする前記取扱要領第2章,第3,1,(1),ハ,(イ)の規定は,前記人口基準を採用することから当然に導き出されるものであり,合理性を有するから,前記消費生活協同組合は消費生活協同組合法12条3項ただし書に規定する行政庁の組合員以外の者に事業を利用させることの許可を受けない限り,前記規定により原則として酒類販売業の免許を取得し得ないが,前記消費生活協同組合は,前記許可を受けておらず,前記申請は前記取扱要領ひいては酒税法10条11号に該当するなどとして,前記請求を棄却した事例

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