裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行ウ)6

事件名

固定資産税賦課徴収懈怠違法確認等事件

裁判年月日

平成10年5月14日

裁判所名

宇都宮地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 町の文化会館の用地として賃借した土地につき,同土地の所有者に対しいったん賦課した平成5年度の固定資産税を免除したことが,同税の徴収を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき町長に対してされた前記怠る事実の違法確認を求める訴え及び同項4号に基づき町長個人に対してされた損害賠償を求める訴えが,適法な住民監査請求を経ていないとして,いずれも却下された事例 2 町の文化会館の用地として賃借した土地につき,同土地の所有者に対し平成6年度から平成8年度までの固定資産税を賦課しない措置を採ったことが同税の賦課及び徴収を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき町長に対してされた前記怠る事実の違法確認請求及び同項4号に基づき町長個人に対してされた損害賠償請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

1 町の文化会館の用地として賃借した土地につき,同土地の所有者に対しいったん賦課した平成5年度の固定資産税を免除したことが,同税の徴収を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき町長に対してされた前記怠る事実の違法確認を求める訴え及び同項4号に基づき町長個人に対してされた損害賠償を求める訴えにつき,前記免除は,いったん発生し,確定した具体的租税債権という地方公共団体の財産を放棄する処分というべきであるから,同法242条1項にいう財務会計行為に該当するところ,具体的な租税債権が発生している状況において,その免除が違法無効である場合には,租税債権が存続することになり,怠る事実の存否はその前提となる免除の違法の有無に帰着することになるから,前記免除を基準として住民監査請求の期間制限の規定を適用するのが相当であるところ,免除から住民監査請求までに4年近くが経過し,監査請求期間を徒過していることは明白であり,また,前記免除措置の存在及び内容が秘匿されたような事情は全くうかがわれないし,免除に先立って,免除の可能性を示唆する発言が議会でされていることなどから,住民が相当の注意力をもって調査したときには,遅くとも平成6年3月には免除の存在及び内容を知ることができたというべきであるところ,住民監査請求は平成9年3月までされなかったのであるから,監査請求期間の徒過につき同法242条2項ただし書にいう正当な理由があるとはいえず,前記各訴えは適法な住民監査請求を経ていないとして,いずれも却下された事例 2 町の文化会館の用地として賃借した土地につき,同土地の所有者に対し平成6年度から平成8年度までの固定資産税を賦課しない措置を採ったことが同税の賦課及び徴収を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき町長に対してされた前記怠る事実の違法確認請求及び同項4号に基づき町長個人に対してされた損害賠償請求につき,前記課税免除は,地方税法6条1項に基づく課税免除と解され,地方公共団体の財産といい得る具体的租税債権が成立していないから,地方自治法242条1項に定める財務会計行為には該当せず,同税の賦課及び徴収の懈怠は怠る事実としてのみ争い得ることになるとして,前記課税免除措置につき監査請求期間の規定の適用はないとした上で,同町の町税条例は,固定資産の所有者に税を支払わせることが妥当でない何らかの理由が存する場合に,町長の判断によって固定資産税の全部又は一部の支払を免除することを可能ならしめた包括的な定めをおき,課税免除を許す余地を残しているとして,町長の判断に裁量権の逸脱がない限り,違法の問題は生じないとした上で,町長の判断に裁量権の逸脱があったとは認められないから,前記課税免除措置に違法はないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

全文

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