裁判例結果詳細

事件番号

平成5(行ウ)7

事件名

産業廃棄物処理施設の適合認定取消等請求事件

裁判年月日

平成10年4月27日

裁判所名

大分地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 知事が,産業廃棄物最終処分場の設置の届出をした上でその設置を完了した者に対し,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前)15条4項に基づいてした同処分場が同条2項1号所定の技術上の基準に適合している旨の認定について,同処分場から流出した土砂等から成る土石流ないし泥流による直接的な被害を受けることが想定される範囲内に居住する住民は,当該認定の無効確認を求める訴えの原告適格を有するとした事例 2 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律(平成3年法律第95号)による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条1項に基づく産業廃棄物最終処分場の設置届出がされ,前記改正法附則5条1項,2項により同法(平成9年法律第85号による改正前)15条1項の許可を受けたものとみなされた施設について,知事に対してした同許可の取消しを求める旨の訴えが,不適法とされた事例

裁判要旨

1 知事が,産業廃棄物最終処分場の設置の届出をした上でその設置を完了した者に対し,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前)15条4項に基づいてした同処分場が同条2項1号所定の技術上の基準に適合している旨の認定について,同処分場から流出した土砂等から成る土石流ないし泥流による直接的な被害を受けることが想定される範囲内に居住する住民は,当該認定の無効確認を求める訴えの原告適格を有するかにつき,同条4項等の規定は,構造上の安全性が確認された産業廃棄物処理施設についてのみその設置を許可し,またその使用を認めることによって,当該施設の周辺地域の生活環境の保全という一般的公益の実現を図るとともに,当該施設の近隣地域に居住し,当該施設の構造上の欠陥に起因する地盤の滑り,産業廃棄物の流出等の事故による被害が直接的に及ぶことが予想される範囲の住民の生命,身体等の安全を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解すべきであるとして,前記住民は,当該認定の無効確認を求める訴えの原告適格を有するとした事例 2 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律(平成3年法律第95号)による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条1項に基づく産業廃棄物最終処分場の設置届出がされ,前記改正法附則5条1項,2項により同法(平成9年法律第85号による改正前。以下同じ。)15条1項の許可を受けたものとみなされた施設について,知事に対し同許可の取消しを求める旨の訴えにつき,同訴えは同法15条の3に基づき前記許可の取消しを命ずることを求める義務付け訴訟であるところ,同条は,産業廃棄物処理施設の構造又はその維持管理が同法15条2項1号又は5項所定の技術上の基準に適合していないと認められるときに,同施設に係る設置許可について,その取消し,改善又は使用停止命令のうちどの処分をするか否かについて知事に効果裁量を認めているから,前記訴えは,義務付け訴訟の許容要件のうちのいわゆる明白性の要件を充足しているとはいえないとして,不適法であるとした事例

全文

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