裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成6(行ウ)32
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成10年3月25日
- 裁判所名
千葉地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
市長が,全職員に対して一律に職務専念義務を免除して勤務時間の短縮を図る旨の措置を市長決裁で決定し,同措置により短縮された時間に対応する給与額を職員に支給したことが違法な公金の支出に当たるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,元市長個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
市長が,全職員に対して一律に職務専念義務を免除して勤務時間の短縮を図る旨の措置を市長決裁で決定し,同措置により短縮された時間に対応する給与額を職員に支給したことが違法な公金の支出に当たるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,元市長個人に対してされた損害賠償請求につき,職務専念義務の免除は法律又は条例に特別の定めがある場合に限って認められる例外的なものであるから,実体的な要件について何ら限定が加えられていない八千代市職員の職務に専念する義務の特例に関する規則2条8号に基づく職務専念義務の免除の承認も,市長の完全な自由裁量にゆだねられているわけではなく,公務優先の原則の下における職員の個別的な特殊事情との衝突の回避,福利厚生の実現等という要請との調整等の必要がある場合にされることが要請されるとした上,前記措置は完全週休2日制による週40時間勤務制の実現に向けての試行として実施されたものであるが,同措置をとることが決定された当時に存した諸事情と,同措置による勤務時間の短縮は公務優先の原則の下における職員の福利厚生の実現という要請との調整手段としての職務専念義務免除制度の趣旨と全くかい離したものではないこととを併せ考慮すると,少なくとも前記勤務制が実施されるまでの間は,同措置が同号の趣旨を著しく逸脱してされた違法なものであったと認めることはできないものの,同勤務制が実現された時点において,同措置の試行的な措置としての目的は達成され,勤務時間短縮の方便として実施された同措置を正当化し得る根拠は失われたから,同時点以降も同措置を継続したことは市長に与えられた裁量の範囲を著しく逸脱したものであり,前記承認により八千代市一般職員の給与に関する条例15条所定の給与減額の原則に対する例外としての任命権者の承認があったものとしてされた前記給与額の支給は違法であるところ,職員全体について,減額すべき給与額の総額が職員の勤務実態から推測される支払を免れた時間外勤務手当の総額を上回るとは直ちに断定できず,市に損害が発生したとは認められないとして,前記請求を棄却した事例
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