裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
行政事件
- 事件番号
平成6(行ウ)39
- 事件名
公文書非公開決定処分取消事件
- 裁判年月日
平成10年3月12日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 府が発注した埋立工事等に係る過去の指名競争入札の予定価格調書に記載された情報が,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条5号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとされた事例 2 府が発注した埋立工事等に係る指名競争入札への参加業者選定のための資料として作成された各建設業者に関する内申書中の「等級」欄の「等級」,「評点」の部分及び「ランク」欄に記載された情報が,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条4号に非開示事由として規定する意思形成過程情報に該当しないとされた事例 3 府が発注した埋立工事等に係る指名競争入札への参加業者選定のための資料として作成された各建設業者に関する内申書中の「等級」欄の「等級」,「評点」の部分及び「ランク」欄に記載された情報が,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条5号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとされた事例 4 府が発注した埋立工事等に係る指名競争入札への参加業者選定のための資料として作成された各建設業者に関する内申書中の「等級」欄の「等級」,「評点」の部分及び「ランク」欄に記載された情報並びに府が行う指名競争入札への参加資格審査手続において作成された入札参加資格者審査調書中の「等級」の部分に記載された情報が,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条1号に非開示事由として規定する法人等情報に該当しないとされた事例
- 裁判要旨
1 府が発注した埋立工事等に係る過去の指名競争入札の予定価格調書に記載された情報につき,同情報のうち公表されていない情報は工事予定価格,最低制限価格及び設計金額であるところ,当該指名競争入札の実施後にこれらの情報を公開することにより,同入札の事務自体に支障が生ずることはあり得ず,また,将来の入札の際の工事予定価格等を予測することがどれほど容易になり,それによって府における今後の建設工事の入札事務に具体的にどれほどの支障が生ずるのかは明らかではないから,府における将来の同種の入札事務の目的が達成できなくなり,又は同事務の公正かつ適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとは認められないとして,前記情報は,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条5号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとした事例 2 府が発注した埋立工事等に係る指名競争入札への参加業者選定のための資料として作成された各建設業者に関する内申書中の「等級」欄の「等級」,「評点」の部分及び「ランク」欄に記載された情報につき,これらの情報は入札参加の資格審査手続において作成された審査調書中の等級及び総合評点の記載が転記されたものであるところ,この等級及び総合評点は各建設業者に対する経営事項審査の結果及び入札参加の資格審査による格付けの結果であるから,前記情報は,既に決定された経営事項審査及び格付けについての情報であって,府における意思形成過程の情報ではないとして,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条4号に非開示事由として規定する意思形成過程情報に該当しないとした事例 3 府が発注した埋立工事等に係る指名競争入札への参加業者選定のための資料として作成された各建設業者に関する内申書中の「等級」欄の「等級」,「評点」の部分及び「ランク」欄に記載された情報につき,これらの情報を公開することによって,府の建設工事の入札事務やその他の事務において,格付けの低い建設業者の協力を得るのが困難になり,これらの事務に著しい支障が生ずるとの具体的な事情は認められないとして,前記情報は,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条5号に非開示事由として規定する事務事業情報に該当しないとした事例 4 府が発注した埋立工事等に係る指名競争入札への参加業者選定のための資料として作成された各建設業者に関する内申書中の「等級」欄の「等級」,「評点」の部分及び「ランク」欄に記載された情報並びに府が行う指名競争入札への参加資格審査手続において作成された入札参加資格者審査調書中の「等級」の部分に記載された情報につき,前記内申書中の「等級」,「評点」,「ランク」の部分は,前記審査調書中の等級及び総合評点の記載が転記されたものであるところ,同記載の内容は,いずれも各建設業者の経営規模,経営状態,地元要素等の評価の結果であって,各建設業者の業務上の信用に関する情報ではあるが,その中に各建設業者の営業の秘密として法律上保護すべき情報があるとは認められず,むしろ,前記各情報は,経営事項審査や総合評点の算定,格付けが適正に行われ,このような制度が正しく理解される限りにおいては,各建設業者の府における合理的な根拠に基づく客観的な評価の一つとなるべきものであり,また,公正な競争秩序の維持の観点からも,各建設業者の経営状態や工事施工能力の評価の一つとして,広く一般の住民が知ることができるものとされるべき情報であるから,各建設業者には前記各情報の非公開を求める正当な利益はなく,これらを公開しても,各建設業者の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないとして,前記各情報は,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号,平成8年大阪府条例第2号により「大阪府公文書公開条例」と題名改正。同改正前)8条1号に非開示事由として規定する法人等情報に該当しないとした事例
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