裁判例結果詳細

事件番号

平成9(行ク)84

事件名

執行停止申立事件

裁判年月日

平成9年12月5日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 滞納処分による差押えがされた不動産の売却決定の取消しを求める訴えにつき,同不動産の仮差押債権者の原告適格を肯定した事例 2 不動産の公売手続における売却価額が不当に低廉であるなどとして,当該不動産の仮差押債権者がした売却決定を前提とする換価手続の続行の停止を求める申立てが,認容された事例

裁判要旨

1 滞納処分による差押えがされた不動産の売却決定の取消しを求める訴えにつき,同不動産の仮差押債権者は,目的不動産が滞納処分における換価手続においてより高額に換価されれば,執行裁判所における配当を通じてその売却代金からより多額の債権の弁済を期待できる立場にあり,目的不動産が不当に低額な売却代金で換価された場合にはその売却決定の取消しを求める法律上の利益を有するとして,前記仮差押債権者の原告適格を肯定した事例 2 不動産の公売手続における売却価額が不当に低廉であるなどとして,当該不動産の仮差押債権者がした売却決定を前提とする換価手続の続行の停止を求める申立てにつき,当該不動産の売却決定取消し後,その所有名義が原所有者に回復される前に,転得者が所有権移転登記を経由してしまった場合には登記名義を回復することは法律上不可能になり,また,原所有者の登記名義を回復することが法律上可能な場合であっても,不動産の売却後には,当該不動産について一定の事実状態が形成されるのが通常であって,当該不動産の原状を回復することは現実には困難であること,処分の続行により生ずる損害が財産的な損害で,金銭賠償によって事後的な損害の回復が可能な場合には,通常は「回復の困難な損害」に当たらないというべきであるが,処分の違法を理由として国家賠償法1条に基づき損害賠償を求める場合には,当該公務員の故意,過失も要件となるから必ずしも損害賠償が認められるとは限らないことなどを考慮すると,行政事件訴訟法25条2項にいう「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に該当するなどとして,前記申立てを認容した事例

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