裁判例結果詳細

事件番号

平成8(行ケ)245

事件名

選挙無効請求事件

裁判年月日

平成9年11月17日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条2項の規定の憲法13条及び43条1項適合性 2 公職選挙法12条1項,13条1項及び別表第1並びに衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条による衆議院(小選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成8年10月20日施行の衆議院議員選挙当時,憲法の選挙権の平等の要求に違反する程度には至っていなかったとした事例

裁判要旨

1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条2項の規定の趣旨は,国政に携わる議員の選出の最も普遍的な基盤という政治的意味を有する団体としての都道府県の機能にかんがみ,これをいわゆる小選挙区比例代表並立制導入後の新制度の下における衆議院議員選出の基盤としても採用するということにあり,選出された議員の国民代表たる性質を失わせるまでの意味を有するものではないから,前記規定は憲法13条及び43条1項に違反しない。 2 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条1項が規定するいわゆる小選挙区比例代表並立制導入後の新制度の下における1対2以内という最大較差は,人口比例主義を唯一絶対の原則とする制度の下においても,各選挙区間において完全な1対1比率を維持するには種々の制約があって通常は不可能であることにかんがみれば,一人一票という原則を実質的に維持するという意味において投票価値の不平等に対する許容限度として現実的かつ明確な基準といえる上,国会がその両議院の議員の選挙制度の仕組みを決定するには人口比例主義のほかに他の政策目的ないし理由をもしんしゃくすることができるとする立場からは,前記1対2以内という基準は憲法の定める選挙権の平等の要求にこたえるものということができるところ,平成8年10月20日の衆議院議員選挙施行当時,公職選挙法12条1項,13条1項及び別表第1並びに衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条による衆議院(小選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,前記基準を基本に据えた点においては十分な合理性を有するものと評価すべきであり,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条2項が定数配分に当たり各都道府県に1を配分し,残余を人口比例主義により配分したことを最大の要因として,平成7年に実施された国勢調査の結果によれば,最大較差が1対2.309に達するなど,現実においては前記基準を遵守していないうらみは存するものの,全体として憲法の定める選挙権の平等の要求に違反する程度には至っていなかったとした事例

全文

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