裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成6(行コ)3
- 事件名
地方自治法242条の2第1項に基づく住民訴訟控訴事件
- 裁判年月日
平成9年5月7日
- 裁判所名
札幌高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 町長が市町村議会議員により設立された核廃棄物の貯蔵施設等の誘致を目的とする団体に対してした補助金の交付決定が,地方自治法242条の2第1項2号所定の行政処分に当たらないとされた事例 2 町長が市町村議会議員により設立された核廃棄物の貯蔵施設等の誘致を目的とする団体に対してした補助金の交付決定が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき町長個人に対して提起された損害賠償請求が,前記交付決定は同法232条の2の規定に違反しないとして,棄却された事例
- 裁判要旨
1 町長が市町村議会議員により設立された核廃棄物の貯蔵施設等の誘致を目的とする団体に対してした補助金の交付決定につき,地方公共団体の長による補助金の交付決定は,本来その給付を求める申込みに対する承諾の意思表示という性質を有する非権力的なものであるが,法令等が特に補助金交付決定に対して処分性を付与したものと認められる場合には行政処分に該当するところ,前記交付の根拠となる補助金交付要綱は,法律又は条例等の委任を受けたものではなく,町の事務執行上の内部的規則にすぎず,交付の相手方の権利義務につき法的に拘束するものではないとして,前記交付決定が地方自治法242条の2第1項2号所定の行政処分に当たらないとした事例 2 町長が市町村議会議員により設立された核廃棄物の貯蔵施設等の誘致を目的とする団体に対してした補助金の交付決定が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき町長個人に対して提起された損害賠償請求につき,町長は,前記施設等を誘致するという政策の実現にとって必要であるとの政治的判断に基づき前記交付決定をしたこと,町の過半数の住民は,選挙等において前記施設等の誘致に賛成する旨の意思表示をしていることに加えて,当該補助金の交付を受けた前記団体は,他の地方公共団体における民意の形成過程に介入することを目的とする団体であるとはいえないこと,前記交付決定が他の諸規範に違反ないし抵触するものとは認められないことなどを総合勘案すると,地方公共団体の財政秩序を乱すような恣意的な補助金の交付を規制しようとする地方自治法232条の2の規定の趣旨にかんがみても,町長が前記交付決定の際に行った公益上の必要性があるという判断に裁量権の逸脱又は濫用はなく,したがって同交付決定は同条に違反しないとして,前記請求を棄却した事例
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