裁判例結果詳細

事件番号

平成6(行コ)4

事件名

都市計画事業認可処分無効確認等,土地収用裁決取消各請求各控訴事件

裁判年月日

平成8年8月9日

裁判所名

広島高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 都市計画決定に定めた道路建設予定区域と異なる位置に道路を築造した都市計画事業の実施内容に一致させるためにした都市計画変更決定に裁量権の逸脱濫用はないとした事例 2 都市計画変更決定をする際の都市計画地方審議会の審議手続に瑕疵はないとして,当該変更決定が適法とされた事例 3 都市計画決定に定められた道路建設予定区域とは異なる位置に道路を築造した都市計画事業の実施内容に一致させるためにした都市計画変更決定が違法であるとしてされた,都市計画事業認可,権利取得裁決及び明渡裁決の各取消請求が,当該都市計画変更決定が違法でなく,それに基づく各処分も違法ではないとして,棄却された事例

裁判要旨

1 都市計画法(昭和55年法律第34号による改正前)21条1項により道路に関する都市計画を変更するか否かの判断は,土地利用,交通等の現状及び将来の見通し等を勘案して,健康で文化的な都市生活及び円滑で機能的な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するという見地から,元の都市計画による道路の規模や位置と,想定される変更案による道路の規模や位置とを比較し,いずれがより適当かという観点でされるべきであり,その判断は第一次的には都道府県知事又は市町村の裁量にゆだねられているとした上,都市計画決定に定めた道路建設予定区域と異なる位置に道路を築造した都市計画事業の実施は違法であるが,前記実施内容に一致させるためにした都市計画変更決定を直ちに違法なものと解すべきではなく,同決定の適否は変更決定権者が前記要素を考慮してした判断に社会通念上著しく不相当な点があるかどうかによって決すべきところ,前記変更決定は,既存の道路の存在を前提として形成された権利,利用関係の尊重など一応合理的な根拠に基づいてされたものとみられないでもなく,社会通念上著しく不相当とはいえないから,裁量権の逸脱濫用はないとした事例 2 都市計画法18条1項,同法(平成2年法律第61号による改正前)21条2項は,都市計画地方審議会という第三者機関の審議を経ることを義務付けることにより,都道府県知事の都市計画決定又はその変更の判断が適正に行われることを手続的に保障しようとする趣旨の規定であり,同審議会の審議手続に著しい瑕疵がある場合には,都道府県知事の都市計画決定又はその変更に関する判断に当然重大な影響がもたらされるから,その審議手続は前記各規定に違反する違法なものというべきであり,また,同法18条2項,同法(前記改正前)21条2項は,関係市町村の住民及び利害関係人の意見を前記審議会の重要な判断資料とする趣旨の規定と解されるから,前記審議会に提出された意見書の要旨が実際に提出された意見書の内容と異なり,前記審議会の結論に影響を及ぼすような不正確,不公正なものであった場合には,審議手続に著しい瑕疵があるものとして違法とされることがあるとした上,当該都市計画変更決定に際して行われた都市計画地方審議会に提出された意見書の要旨はおおむね適切に作成されており,県知事による意見書の要約が不十分ということはできないなどとして,当該変更決定を適法とした事例 3 都市計画決定に定められた道路建設予定区域とは異なる位置に道路を築造した都市計画事業の実施内容に一致させるためにした都市計画変更決定が違法であるとしてされた,都市計画事業認可,権利取得裁決及び明渡裁決の各取消請求につき,前記都市計画変更決定には裁量権の逸脱濫用はなく,また,これに際して行われた都市計画地方審議会の審議手続にも違法はないから,前記変更決定は違法とはいえず,それに基づく前記各処分も違法ではないとして,前記各請求が棄却された事例

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