裁判例結果詳細

事件番号

平成6(行コ)195

事件名

国籍確認請求控訴事件

裁判年月日

平成7年11月29日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 韓国国籍を有する母が日本国民である父との婚姻中に懐胎したため,嫡出推定を受ける子であっても,その後,父との間の親子関係が存在しないことの確認の合意に相当する審判が確定したときは,国籍法2条1号所定の「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」に該当しないとした事例 2 韓国国籍を有する母が日本国民である父との婚姻中に懐胎した子について,その後父との間に親子関係が存在しないことを確認することの合意に相当する審判が確定し,その時から起算して出生届の提出期間に相当する期間内に,前記母が出生届を,日本国民である実父が認知届出をそれぞれした場合には,前記子は,前記実父の認知により日本国籍を取得するとした事例

裁判要旨

1 韓国国籍を有する母が日本国民である父との婚姻中に懐胎したため,嫡出推定を受ける子であっても,その後,父との間の親子関係が存在しないことの確認の合意に相当する審判が確定したときは,出生による国籍取得の基礎となるべき日本国籍を有する父との生理的血統関係が否定されることになるから,国籍法2条1号所定の国籍取得事由である「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」には該当しないとした事例 2 韓国国籍を有する母が日本国民である父との婚姻中に懐胎した子について,その後父との間に親子関係が存在しないことを確認することの合意に相当する審判が確定し,その時から起算して出生届の提出期間に相当する期間内に,前記母が出生届を,日本国民である実父が認知届出をそれぞれした場合につき,国籍法2条1号にいう「出生の時に父(中略)が日本国民であるとき」とは,子の出生時において,日本国民である父との間に法律上の親子関係が形成されていることを意味し,子の出生後にされた認知の効果が出生時に遡及する結果,出生時に法律上の父子関係が形成されることとなるような場合は含まないと解すべきであるが,嫡出推定を受ける子については,実父が夫以外の日本国民であっても,子の出生前に嫡出否認の訴えや親子関係不存在確認の訴え等により嫡出の推定を排除するみちがなく,また,実父からの胎児認知の届出も受理されない扱いであるため,認知による日本国籍の取得を認めなければ,子が生まれながらに日本国籍を取得するみちが閉ざされてしまうことになり,このような子について,嫡出が否定された時に接着した時(嫡出子であることが確定した裁判によって否定された時から本来の出生届の期間内)に出生届と日本国民である実父の認知届出があったときに限り,同号の要件を満たすと解しても,生来的な国籍の取得はできる限り出生時の法律的親子関係に基づいて確定的に決定しようとする同号の趣旨に反しないとして,前記子は,前記実父の認知により日本国籍を取得するとした事例

全文

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