裁判例結果詳細

事件番号

平成6(行ウ)5

事件名

不作為の違法確認等請求事件

裁判年月日

平成7年7月26日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 都道敷上に道路占用許可を受けずに設置された自動販売機の全部につき,その所有者等に対して都が有する不当利得返還請求権等を行使しないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき提起された都知事に対する怠る事実の違法確認を求める訴えが,請求の特定を欠くとして,却下された事例 2 都知事が,都が国から無償貸付けを受けている都道敷を不法占有する者に対して有する不当利得返還請求権ないし不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っていることが,住民訴訟の対象となる財務会計上の怠る事実に当たるとされた事例 3 都が国から無償貸付けを受けている都道敷上に道路占用許可を受けずに設置された特定の自動販売機の所有者及び貸与者に対してされた地方自治法242条の2第1項4号後段に基づく不当利得返還請求が,一部認容された事例

裁判要旨

1 都道敷上に道路占用許可を受けずに設置された自動販売機の全部について,その所有者等に対して都が有する不当利得返還請求権ないし不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき提起された都知事に対する怠る事実の違法確認を求める訴えにつき,同号に基づく請求は,判決の既判力をもって怠る事実である個別具体的な財務会計上の作為義務の懈怠の違法を確定し,執行機関又は職員に当該作為義務の履行を促すことを目的とするものであるから,既判力の客観的範囲を画し,審理の対象,範囲を明らかにするために,審判の対象である前記怠る事実に対応する財務会計上の作為義務が個別具体的に特定される必要があり,また,個別具体的な金銭債権の不行使が財務会計上の作為義務の懈怠に当たるかどうかを審理,判断するためには,行使すべきであるとする個々の債権が具体的に特定されていなければならないとした上,前記訴えは,個々の自動販売機や債務者等を明らかにしないまま自動販売機の設置により都に生ずるすべての不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権につき一般的網羅的にこれを行使しないことの違法確認を求めるものであって,行使すべきであるとする個々の債権が個別具体的に特定されていないから,請求の特定を欠くとして,これを却下した事例 2 国から無償貸付けを受けている都道敷を不法占有する者に対して都が有する不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権は,地方自治法237条1項所定の「財産」に当たり,都知事がその行使を怠っていることは,財務会計上の怠る事実にほかならず,住民訴訟の対象となるとした事例 3 都が国から無償貸付けを受けている都道敷上に道路占用許可を受けずに設置された特定の自動販売機の所有者及び貸与者に対してされた地方自治法242条の2第1項4号後段に基づく不当利得返還請求につき,同人らは,適法な権原なく前記自動販売機を設置してその借受人である販売店等を通じて都道敷を占有することにより,都道敷を,自己の商品の広告,宣伝の機能を有する自動販売機の置き場所として利用する利益を得たものといえる一方,都は,第三者に道路占用許可を与えて適法な占有権限を設定し,その対価として占用料を徴収することによって,前記都道敷を利用する可能性を有していたところ,前記不法占有によりその利用可能性を失うという損失を受けたことになるとして,不当利得返還請求権の成立を認めた上,前記債権を行使しないことを正当化する特段の事情は認められないから,都知事は前記債権の行使を違法に怠っているとして,前記請求を一部認容した事例

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