裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成5(行コ)15等
- 事件名
進級拒否処分取消請求控訴,退学命令処分等取消請求控訴事件
- 裁判年月日
平成6年12月22日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市立工業高等専門学校の校長がした学生を進級させないこととする決定が,司法審査の対象となるとされた事例 2 市立工業高等専門学校の校長がした学生を進級させないこととする決定が,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例 3 市立工業高等専門学校の校長が,連続2年度にわたり学生に対してした進級させないこととする決定及びこれを理由とする退学処分が,処分理由及び処分の必要性の判定に裁量権の著しい逸脱があるとして,いずれも違法とされた事例
- 裁判要旨
1 市立工業高等専門学校の校長がした学生を進級させないこととする決定は,学生に対し上級学年における授業を受ける機会を延期させるものであり,学生が一般市民として公の教育施設である同校において授業を受け,これを利用する権利を侵すものであるから,その適否をめぐる争いは,同校の内部問題にとどまらず,学生の権利又は法律上の利益に直接かつ重要な関係を有するものとして司法審査の対象となるとした事例 2 市立工業高等専門学校の校長がした学生を進級させないこととする決定は,学生に対し上級学年における授業を受ける機会を延期させるものであり,学生が教育施設を利用する権利に制限を加えるものであるから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとした事例 3 市立工業高等専門学校の校長が,宗教上の信条に基づいて必修科目である保健体育科目中の剣道実技への参加を拒否し,同科目の修得認定を受けられなかった学生に対し,連続2年度にわたってした進級させないこととする決定及びこれを理由とする退学処分につき,前記学生が剣道実技への不参加によって失う利益と同校の教育施設としての公共的な利益とを比較考量すると,前記学生は同人の内心の信仰の核心的部分と密接に関連する理由により剣道実技への参加を拒否したために同校で教育を受ける機会を失うこととなるのに対し,同校の目的からみて,剣道実技の修得が必要不可欠であり,代替措置では教育効果をあげることができないとまでいうことはできないから,前記校長は,法的,実際的障害がない限り,その教育的配慮に基づく裁量により剣道実技の授業の代替措置をとるべきであるところ,同校長が代替措置をとることは,憲法20条3項,教育基本法9条2項及び憲法14条1項に反するものであるとはいえず,また,代替措置をとるについて実際上の障害があったともいえないから,前記各処分は,処分理由及び処分の必要性の判定に裁量権の著しい逸脱があるとして,いずれも違法であるとした事例
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